第18回 かわいがり子育てのすすめ
■まじめなお母さんの悩み
「これって甘やかしにならないかしら?」と、まじめなお母さんは日々悩みます。
一番悩むのは、毎度毎度の食事の時。好き嫌いをどうやって直そうかと一生懸命のお母さんは、食卓に出したものを全部食べたかどうかで今日一日のの気分が違ってしまうほど。
また、こどもが何か物を欲しがる時。買ってあげるべきか、我慢させるべきか、これも母親にとって深ーい悩みになちゃいますよね。
悩んでいるそばから、祖父母が買い与えたりすると、更に奥深い悩みに発展・・・・
そんな時に開いてみると良い本が出ました。
わたしが、子育ての本でお勧めしている『子どもへのまなざし』(福音館)の著者で、児童精神科医佐々木正美先生の新しい本、『かわいがり子育て』です。
ハンドブックくらいの大きさで、大切なところを赤字で大きく書いてあるので、読みやすく、リビングなどに置いて時間があるときにぱらぱら見るだけでも、ちょっとした日々の疑問や迷いを解決してくれるアイデアに溢れています。
■甘やかすって良いこと?悪いこと?
さて、ここでみなさんに問題です。「甘やかす」って子どもにとって良いことでしょうか、悪いことでしょうか?
佐々木先生が最近の子ども達をみて憂えていらっしゃることは、「愛情に飢えていることもが多い」と言うことです。
保育園や幼稚園で先生を独り占めしようとする子どもが増えているそうです。
いたずらをしたり悪いことをして叱られても、先生の関心を引きたいといろいろと困ったことをやる子が多いのだそうです。
愛情に飢えている?こんなにいろいろ子どものためにしているのに?と思うお母さんが多いのではないかと思いますが、実はお母さんが子どものためにいいと思ってやっていることが、必ずしも子どもが望んでいることではないということに気がついていない方が本当に多いのです。
子どものためと思ってご自分が一生懸命やっていることについて、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
「こんな人になって欲しい。」「こんな人生を歩んで欲しい。」など、親ならだれでも子どもへ夢を託しますが、そのためにはこうした方がいいと親が判断して、先回りしてさせていませんか。
そしてよくよく考えてみると、それらのことが、自分の不安を和らげるためだったりしませんか?
こどものしたいことを思いっきりさせる「甘やかし」や「過保護」と、子どものためと思って色々やりすぎることをこの本では、「過干渉」と言い、はっきりと区別しています。
■「甘やかし」と「過干渉」はちがう。
先ほどの問いの答えですが、もうおわかりと思いますが、「甘やかす」ことは、子どもの健全な成長のために良いことなのです。
では、どうすることが甘やかしで、どうすることが過干渉なのかについては、子どもが大きくなってからも、親としてはとても悩むところです。それこそ毎日この問題にぶつかると言っても過言ではありません。
ただ、基準になることは、こどもの気持ちを大切に、親はちょっと離れたところから愛情を持って、じっと見守ることだと思います。
そして求めてきたら思う存分甘えさせて、抱きしめてあげること。
■人生は問題集
今NPO法人子育てコンビニで初めてお母さんになった方のインタビューをまとめたドキュメンタリー映画「Bloom」を製作中ですが、この映画の監督も今3歳と0歳のパパで子育て真っ最中です。監督はお子さんの病気などで子育ての大変さを思い知ったそうで、「人生はこうした機会で人を大きくするようプログラムされた問題集ですね。」というメールをいただきました。
まさに、子育てしている毎日は、人生についての応用問題を解いているようなものなのかもしれません。
問題を一つ解くごとに、親は成長させられているのではないでしょうか。
問題を解くヒント集として、『かわいがり子育て〜3歳まではおもいっきり甘えさせなさい』(佐々木正美著 大和書房)をわたしは、お薦めします。
「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
子育てをしていて、嬉しかったこと、驚いたこと、困ったこと、つらかったことなど、子育てをして感じた様々なことを、みんなでおしゃべりしてみませんか?
子育てコンビニでは、毎月「みんなで作ろう子育てコンビニ」という集まりを開いています。子育てコンビニのスタッフ以外は毎回新しい方の参加があり、いつも同じメンバーの集まりではありません。
悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
皆様のご参加やメールでのお便りなどお待ちしています。
nana
2007年10月号