力を抜いて,ゆったりと・・・・

第19回 父親であることを楽しもう

■お父さんと子育て
 最近お父さんの子育て参加がクローズアップされるようになってきました。
子育てコンビニでも、この秋お父さん向けの子育てワークショップを開催し、延べ20名ほどのお父さんが講座に参加されました。私は普段お母さんとばかり接していますので、お父さんの集まりはとても新鮮に感じました。

 先日金沢で第6回全国子育てひろば実践交流セミナーIN石川が開催され、私も全国から集まる子育て支援の方々と交流を深めようと参加しました。その中の「お父さん応援プロジェクト」という分科会があり、わたしはこの分科会に入って、父親支援プログラムについて事例などの勉強をしました。

■ファザリング・ジャパンの取り組み
 事例報告者の1人、NPO法人ファザリング・ジャパンの代表安藤哲也さんのお話はとても新鮮で興味深いものでした。
安藤さんがNPOを立ち上げて、父親支援をしようと思い立ったきっかけは、昨年で起こった「奈良エリート少年自宅放火事件」だったそうです。
当時安藤さんは六本木ヒルズにある会社に勤め、昼も夜もないような会社生活を送っていて、周りも同様で、家庭を顧みるような環境ではなかったのだそうです。しかもこどもを良い学校、良い大学、良い会社に入れたいといった親が多く、このままではまずいと思い父親支援を始めたということでした。

■OSをバージョンアップできないお父さん
 男性は父親になるというビジョンがないのだそうです。
パートナーが妊娠したときに初めて父親になるということを意識するけれど、それまでは、自分が父親になるなど考えたこともない。その点女性は子どもの頃から自分は大きくなったらお母さんになるかもしれないと意識するしないに拘わらず、どこかで感じていると思います。
IT業界にいた安藤さんは、そのことをこんな風に表現していました。
女性は自然にOSをバージョンアップでき、新しいアプリケーションソフトに対応できるけれど、男性はOSをバージョンアップできず、新しいソフトが入るとフリーズを起こしてしまい、強制終了=離婚 となると。
いつまでもWindows98いえ3.1のまま変わらない夫と、さっさとVistaになってしまう妻という感じでしょうか。
今、ご自分の周りにもこの強制終了があまりにも多いと嘆いておられました。
こうならないために、今父親支援が必要なのだと。
 わたしは、非常にわかりやすい説明だと大きくうなずきながら聴いていました。

■父親支援は父親の自立支援
 母親支援と父親支援は違います。子育てに「参加、協力」、ましてや「家族サービス」などという嫌な表現で関わるのではなく、父親の自立を支援することが父親支援だとおっしゃることに共感を覚えました。
いかに楽しく子どもと関わっていくか。お父さんのための「朝ごはんの作り方教室」「お弁当の作り方教室」「お父さんのヘアカット講座」「お父さんと子どもの一泊旅行」など、母親も喜ぶ楽しそうな企画実践されていました。
 でも、仕事が忙しくそんな時間がないというのが今の日本の現実です。個人の意識改革だけでなく、企業の意識改革が不可欠なのです。そのために、安藤さんたちは、企業へのアンケート調査をしたり、会員をファザリング工作員として企業内に潜入させていたりしているということでした。今後の活躍が楽しみです。

■子育てを楽しめる環境
 お父さんが子育てに関わると、地域デビューが早くなります。そうすると退職後も知り合いが多く豊かな人生になるでしょう。
そういう男性が多い地域社会は安全だし住みやすいので、高いローンを払って買った自宅の不動産の価値も当然上がります。
こんな説明は男性にはとても理解しやすいようです。

 「第6回全国子育てひろば実践交流セミナーIN石川」に参加して、わたしが子育て支援を始めた7年前からすると、だいぶ子育て環境は良い方向に行っているのではないかと感じました。少なくとも在宅で子育てをしている母親支援への理解は得られるようになり、おやこ広場も増えてきました。
 ここでお父さん達が、もっと楽しく子どもと関わるようになってくると更に子育てを楽しめる環境になっていくのかなあと考えています。子育てコンビニでは、来年はお父さんも一緒に活動できるようにしていきたいと考えています。

 こどもを育てて思うことは、知らず知らずのうちに、自分も子どもに育てられていたなあということです。
「お父さんは、地球で一番楽しい仕事」というのは、「お父さん応援プロジェクト」のキャッチコピーですが、苦労は多いけれど、
子どもを育てることよりも楽しい仕事が他にあるでしょうか?


 

 「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
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 子育てコンビニでは、毎月「みんなで作ろう子育てコンビニ」という集まりを開いています。子育てコンビニのスタッフ以外は毎回新しい方の参加があり、いつも同じメンバーの集まりではありません。
 悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
 皆様のご参加やメールでのお便りなどお待ちしています。


nana


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2007年12月号

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