力を抜いて,ゆったりと・・・・


第20回 お父さんたちよろしく!


■昨年知り合った2人の素敵なお父さんのこと
 2008年が明けました。今年も、相談コーナーのエッセイがんばって書き続けて行きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、2008年は、ぜひお父さんと一緒に子育てを!と思っています。
というのは、昨年2人の素敵なお父さんと知り合い、お話しするチャンスを持つことが出来、良い刺激や発見があったからです。
お父さんにもっと子育てに協力して!とか参加して!と言ってもなかなか難しいと思っていたのですが、このお2人と出会って、
少し見方が変わってきました。

■50代の素敵な父親 〜広岡守穂先生〜
 昨年夏、山梨県教育委員会主催の「子育て支援コーディネーター養成講座 〜子育て環境・子育て状況を考える」にパネリストとして呼んでいただきました。
その時の基調講演が中央大学の広岡守穂先生でした。
わたしも勉強不足で、この方が男女共同参画ではご著書も多く有名な方だとは知りませんでした。
紹介には、「専攻は政治学だが、政治経済にかぎらず現代日本の社会現象に幅広い関心を持っており,最近は子育てや教育のほかに、まちおこし、福祉、国際交流などの分野における市民のNPO(非営利団体)活動や女性の仕事おこしを調査研究している。」と書いてありました。

 基調講演は、ご自身の学生結婚から、5人の子育て、妻の自分育て、現在のご自身の孫の世話など、家族、夫婦、子育てなど様々な問題を、体験交えてお話されてとても興味深かったです。
先生と奥さんは、学生結婚で若くして親になり、つぎつぎに5人の子宝に恵まれました。
広岡先生は、会社勤めではなく、家にいる時間も多かったので、当時専業主婦であった奥さんの子育てを手伝っているつもりだったそうです。
日曜日には、動物園に行ったり、ファミレスで外食したり、いわゆる家族サービスもしていたのに、奥さんは、決して子育てだけで満たされていたわけではなかったという話に、自分の人生を重ね合わせて、思わず涙が出そうになりました。
しかし広岡先生は、夫婦で会話をされていて、奥さんがどう思っているかをきいておられました。
3人目のお子さんを授かった時だったでしょうか、先生の「これからも楽しくやっていけるよね。」の言葉に無言だった奥さん。
「じゃあどうして欲しい?」の問いに、「独りの時間が欲しい。」の答え。そしてその答えを予想だにしていず驚いたという先生。
このエピソードに、私はとても納得!でした。
そんな質問をする夫がどれほどいるでしょうか?
 
 先生の面白いお話に自分の発表も忘れて聞き入ってしまった私ですが、帰りの電車もご一緒することが出来、初対面にもかかわらず、私の方は、自分のNPO活動の話や子どもの話などをさせていただき、先生はお子さんの進路の話など、東京まで話題は尽きることがありませんでした。
そして帰宅後、すぐにご著書を調べて図書館で借りてきました。

 まず読んだのが、「妻が僕を変えた日」この本はもう絶版になっていますが、今でも十分読み応えがあります。
先生が、学生結婚をし、5人のお子さんを授かり子育てをする中で、夫婦の関係を見直したり、自分の考えが変わっていく様子が良くわかります。女性が働くと言うことの意味を考えるのにもとても参考になる本でした。
 この後、「父親であることは哀しくもおもしろい。」を読みましたが、父親の子育て観が良くわかります。
男性は、母親とは違ったスタンスで子育てや子どもに関わるので、母親の価値観だけで見たり批判をしてはいけないことに気がつきます。

■40代の素敵な父親 〜 安藤哲也氏
 昨年秋、今度は金沢で開かれた、第6回全国子育てひろば実践交流セミナーIN石川に、参加者としていった時、NPO法人ファザリング・ジャパンの安藤さんと知り合いました。
そのことは、前回のエッセイに詳しく書きました。
安藤さんのNPO法人ファザリング・ジャパンは、「子育てパパ力(ぢから)検定」を主催しています。
食育検定、京都検定等々、検定ばやりの昨今。「えっ!試験?」なんていうママもいるかもしれませんが、男性は分かりやすいことが大好きなのです。
父親となって積極的に子育てしたいけれどどうしたらよいか分からないパパは、テキストを読んで検定試験を受けると、自分に何ができるか、何から始めれば良いのか分かるかもしれません。
女性にとって分かりやすいことが男性にとって分かりやすいとは限りませんし、その逆も真実なのです。そのくらい、男性と女性の間には、深〜い溝のようなものがあるなあと、この年になってあらためて感じています。

 父親たちも企業や社会に人生を委ねた生き方でなく、自分で主体的に人生を作り上げたいと考えるようになって来ています。
子育てをしたいという欲求を持つことが、そのきっかけになっているそうです。
しかし、そうはいってもどんなふうに子育てにかかわって良いのか入り口で戸惑っているパパも多いはず。
そんなパパたちや、これから子育てをしたいと考えているカップル、また子育て支援をしたいと考えているシニア世代の方たちにこの「子育てパパ力検定」は役に立ちそうです。

 「子育てパパ力検定」の公式テキスト&問題集 (小学館)を開いてみると、育児書に載っているような育児の基礎知識もあり、
行政情報、税金、子どもに関する法律、行事など知って得する知識もあり、不妊の原因は?離婚原因は?とか親子がテーマの映画の題名、伝承遊び、テレビやマンガなど多岐にわたり、読み物としても楽しいしためになります。わたしも知らないことばっかりでした。
男性ならではのアプローチの仕方ではないかと、公式テキストを読みながら思ったのでした。
合間に出てくるパパたちの子育てエッセイも新鮮です。
『「パパ検」は”お父さんスイッチ”です。』と前書きにあるように、まずスイッチを入れるために、パパ友同士や夫婦で問題の出し合いをしたり会話のきっかけにしたりするのも良いかもしれません。

■熟年離婚にならないために。
 わたしが、この2人の素敵な父親たちと出会い、お話しする機会をいただいて感じたことは、ご家族に対する愛情の深さでした。
妻を一人の人間として愛し、理解しようという気持ちが強いと感じました。
結婚するとき、一生この人と人生を共にしようと誓います。しかしどれだけの人がこの誓いを守り通せるのでしょうか。
子どもができると、夫は仕事、妻は育児(共働きでも育児の比重は妻にかかっています。)と分業になり、それぞれが相当に忙しいため、大切なことを置き去りにしてしまいます。それは、夫婦の関係。夫も妻も、こどもの父親、または母親としての存在でしかなくなり、結婚した頃のように、お互いに理解しあうことをあきらめている人が多いように思います。挙句の果てに子育て後の熟年離婚。

 この2人の父親の共通点は、妻を大事にし、ご自分も大切にし、何よりも二人で作り上げた家庭を人生で一番大事なものと
思ってるところだと思いました。そして、家庭内のコミュニケーションを上手にとろうとする姿勢が見えます。

 このお二人のような素敵な父親が増えるように、今年は、父親向けのイベントをたくさん企画したいと思っています。
正直に告白すると、私自身頭のどこかで、「どうせ男の人は仕事優先なんだから・・・」とか「なんだかんだ言っても子どもは、お母さんが一番好きなんだし・・・・」とか思っているところがあるので、それは忘れて父親たちの本音に、真剣に耳を傾けたいと思っています。
 お父さんたちよろしく!
 

 「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
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nana


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2008年1月号

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