力を抜いて,ゆったりと・・・・


第25回 子どもと育んだ義父母との繋がり


■急な別れ
6月は悲しい月でした。 梅雨の晴れ間のある日、子ども達の成長をいつも楽しみにしてくれていた義父が突然逝ってしまいました。
義母が亡くなってからも、頑固に独り暮らしを続けていた義父でした。このところ少しずつ体力の衰えが感じられましたが、食欲もあるし、外出も出来ていたのでこんなに早くお別れすることになるとは、思ってもみませんでした。心筋梗塞でした。
亡くなった夜は、夫の姉の家族と、私達の家族全員が、枕元で思い出話をしながら過ごしました。
毎年のお正月、誕生日、旅行の写真を見ながら、泣いたり笑ったり・・・・リビングには、4人の孫の生まれたときの写真が飾ってあります。
みんな大人になってしまいましたが、4人の孫達の幼稚園から、大学まで、子供達の入園、卒園、入学、卒業は、出来る限り
出席、一番下のうちの娘の運動会も高校3年の昨年まで元気に参加してラジオ体操もしていましたし、この春の大学の入学式に出席出来たことを喜んでいました。学校行事にはいつもいたやさしい”じじ”だったので、子ども達の落胆振りは大きかったです。

■核家族の子育てに必要なこと
 この30年ほどで、核家族化がすすみ、住居も殆どが一世代で終わりになるといいます。 昔宅地造成された地域は、高齢化して、そのまま住む人がいなくなるケースもあるとききます。
我が家も同様で、夫が大学生の頃建てた家にもう住む人はいません。昔は同居が普通だったので、代々住み続け、ご近所との付き合いなども、親子孫と続いていますが、現代は一代毎に途切れてしまう家が多いようです。プライバシーは守られるし、他人の不必要な干渉もないので一見楽かもしれませんが、それが社会のどこかに歪を作っているように思います。

地域社会の中での人とのつながりが少なく、外の人間と関係が薄くなる一方、家庭内の密度が濃く、特に核家族で子育てをしている家庭は、息苦しさを感じているのではないでしょうか。
今更昔に戻ることは出来ませんので、別々に暮らす親の世代と出来るだけ会うようにすることや、地域で行われているさまざまな地域交流の場や催しなどに積極的に出かけていき、自分から外との関係を作っていくことが、核家族が多い社会で生きるうえで気をつけていかなければいけないことだと思います。

■子どもと育んだ義父母との繋がり
私自身結婚した頃は、殆ど夫の両親と会うことはありませんでした。せいぜい一年に2〜3回。しかし、実家が遠かった私は、子どもが生まれてからは、殆ど毎週末一緒に過ごし、家族旅行も一緒にしてきました。
当初は私達が望んだわけではなく、無類の子ども好きだった義父母が押しかけてくるといった状況でした。
最初は、非常に戸惑いました。何しろ私にとって義父母は全くの他人でしたから。旅行など一緒に長期間行動すること自体、若くてわがままだった私には考えられませんでした。
正直、毎週孫の顔を見に来る義父母がうっとおしく感じたことも多々ありましたし、むやみに子どもを甘やかし、あれやこれやと買い与えたり、子どもの望むままに飴やアイスなど甘いものを食べさせたりすることを腹立たしく思ったこともありました。
しかし子どもの成長を一緒に喜び、見守り、過ごす時間が長くなると、次第に他人という感じがしなくなってきたのは不思議なことでした。こうやって義父母とは別所帯でしたが、とても身近な関係になっていきました。子どもたちも同様でした。
私自身、自分の育った家庭の価値観と全く違うものを理解することを覚えました。これも子どもを産み育て、子どもと一緒に成長してきたことのひとつだと思います。今は、一緒に子どもたちを見守り育ててくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

■親から子、子から孫へと続いていく命
そういう長い長い付き合いになった義父の急逝で、まだなかなか気持ちの整理がつきません。でも、この30年を振り返って、ひとつの時代の終わりをしみじみと感じました。
亡くなった夜、子ども達と一緒に、穏やかな顔で眠る義父の側で過ごし、人の一生のの儚さと親から子、子から孫へと続いてく命の尊さを感じました。
残された私達は、今ここに命が在ることに感謝して、毎日をしっかりと生きなければと思いました。
一番大きな骨壷に入りきらないほどしっかりとしたお骨を見て、息子が「こんな太い骨を持つ人の血を受け継いでいると思うと、自信が出るよ。」と泣きながら言っていました。命のバトンをしっかりと受け止め次の世代に繋いで欲しいと思いました。
今月は、ちょっとしんみりとした話になってしまいました。
梅雨明け宣言は出ませんが、真夏の暑さです。もう夏休み突入ですね。
是非、夏休み中、お子さんにはおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に過ごす楽しい時間をたくさん取ってあげて下さいね。



 

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nana


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2008年8月号

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