力を抜いて,ゆったりと・・・・




第36回 子育てと政治について考える夏

■選挙の季節
7月に衆議院が解散し、一ヶ月後には、総選挙が行われます。政権政党が変わるかもしれない、歴史に残る大きな選挙になります。普段政治と無縁な人も、毎日のようにテレビや新聞で各党のマニフェストやそれについての政治家や有識者の意見を耳にします。こんなに国民が政治に関心を持って臨む選挙も珍しいのではと思います。
その上今回は、各党のマニフェストの目玉に子育てや教育があがっているのです。

子育て支援のNPOを立ち上げて8年、子育て情報発信のサイト作りに参加したのがきっかけで、当初は、社会を変えたいなどと大それたことを思っていたわけではありませんでした。

たまたま巡り合った子育てコンビニの会員の若いお母さんたちと一緒に活動して最初に感じたのは、わたしの子育て時代と15年以上の開きがあるのにどうしてこうも社会が変わっていないのだろうということでした。

新しく子どもを産んで母親になる女性たちが少しでも楽しく子育てができる環境をつくりたいと、NPOのミッションに「孤独な育児からの解放、子育てしやすい環境づくりを目指す。」をかかげて、活動してきました。その中で、出会ったのが、四つ葉プロジェクトでした。

■四つ葉プロジェクトについて
「社会全体で子どもの育ちを支え、子育て家庭を応援していこう、みんなで子育てする社会をめざそう」を合言葉に、制度やしくみから今の世の中を考えていこうという活動です。

2006年5月にこのプロジェクトの1周年を記念して、「こどもからはじまる〜子育てしやすいしゃかいへ〜」と題したタウンミーティングが開かれました。

わたしは、当時三鷹市内の活動を始めたばかりで、社会の仕組みや制度についての知識も乏しく法律などを学ぶ必要性を強く感じました。

少子化対策として働く母親のための、保育所の整備や子育て支援環境の改善が進みましたが、なかなか止まらない少子化。

ここに来てやっと、専業主婦への子育て支援や子育てしやすい環境作りの大切さに目が向けられるようになったと感じました。

「あちらこちらで子育て支援をしてきた方々の思いが少しずつ形になり、社会を変えようとしていることを肌で感じとても感動した」と、当時のブログに書いています。

そして四つ葉プロジェクトの活動に、NPO法人子育てコンビニとして賛同表明をしました。

そして翌年、2007年の四つ葉2周年のときは、「ワークライフバランス」が、テーマになっていました。

保育所の預かり時間の延長や、専業主婦の子育て支援のためのひろばの整備や様々な取り組みがされ、子育て環境が多少良くなってきたとしても、安心して豊かに子育てができる社会には、現在の男性を中心とした労働者の長時間労働などを見直さなければならないという声が大きくなってきたと感じました。

昨年の3周年のシンポジウムでは、保育の質に焦点を当てた議論がされ、とても勉強になりました。

それから、更に1年が経過し、今年の5月に、「にっぽん子育て応援団」という団体が立ち上がったのです。

以上のような経緯で、子育てと政治、一見関係なさそうなのですが、子育て環境を良くするためには、政治の力が必要だということがわかってきたのです。

■「にっぽん子育て応援団」結成シンポジウム
5月9日、女性と仕事の未来館で、にっぽん子育て応援団の結成シンポジウムがあり、わたしも行ってきました。
このシンポジウムは、2部構成になっていて、1部は5つの政党から一人ずつ国会議員の方が出て、企画委員の資生堂副社長岩田喜美枝さんとさわやか福祉財団理事長で弁護士の堀田力さんのコーディネートで、各党の子育て支援の取り組みについて、話されました。

以下は、その時の各政党の子育て支援通の議員の方のお話の中からキーワードを拾ったものです。

自民党 参議院議員 坂本由紀子さん
子育ては社会が支える、幼児教育の無償化、専業主婦の子育て支援も、ワークライフバランスも、子供の視点で。
虐待防止や両立支援にかかわるシステムの確立。消費税の1%である2兆円を子育て支援に充てる。

公明党 衆議院議員 古屋範子さん
子どもが生まれて育ちやすい社会、ワークライフバランス、男性の育休、社会全体で子育て支援。
幼児教育の無償化。

民主党 衆議院議員 小宮山洋子さん
子育てが楽しくない現状があり、総合的な子育て支援をしていきたい。子ども第一の社会を。
子ども手当の充実(月額26,000円)。

共産党 衆議院議員 高橋千鶴子さん
子育てしにくい社会。 保育所問題、育休がとれていない。経済格差、貧困。
社会全体で子育てを支える、女性差別の撤廃、子育ては女性だけの仕事ではない。
乳幼児医療の無料化

社民党 参議院議員 福島みずほさん
労働構成の問題、雇用不安定、ワークライフバランス 婚外差別撤廃、 生き方の多様性を認めない社会を変える。
どんな環境に生まれても子どもがハッピーになれる社会。
検診と出産を無料に。

一人2分ずつなど、きっちり時間をきめての発言で、皆さんのお考えや政策の違いが見えやすい討論で、8月末の総選挙に向けた各党のマニフェストが、身近に感じられる討論でした。

■子育てへの無関心を何とかしなければ!
2部は、応援団長の一人である、ファザーリング・ジャパンの安藤哲也さん、経済評論家勝間和代さん、経済産業省で育休をとった山田正人さん、日本テレビ解説委員の宮島澄香さん、書いているだけでも豪華なメンバーで応援団結成記念トークが行われました。

そして、途中からは小渕少子化担当大臣が駆けつけ、今の日本の子育てについての問題点や、これから目指すところなどについて、さまざまな議論が展開しました。

”育児の問題は母親”という意識の改革が必要だと安藤さん、こんなに働きこんなに豊なのにこんなに不幸なのは何かがおかしいと勝間さん、教育費の親の負担が大きいのでは?と宮島さん、子育ては長い、小学校入学後の支援や働くお父さんの支援が抜けていると山田さん。

小渕大臣は、もうすぐ第二子ご出産とか。パパに育休をとってもらうそうです。子育て真っ最中の当事者として、すぐにできる支援として、子ども連れの親子に優しい声かけをとおっしゃていました。

パネリストの方々は、子育て当事者として社会にのぞむことをざっくばらんにお話しされ、お話を聞く会場も、とにかく今の現状を何とかしないとと思う方であふれていました。

最終的には、「子育てへの無関心をなんとかしなければ!」が全員の一致した意見でした。

詳しい内容は、「にっぽん子育て応援団」のサイトで動画公開されています。

子育てが大変と感じる現状の解決を考えると、結局は、男性の働き方の見直しや、ワークライフバランスに行きついてしまます。

そしてやっぱり無理!と思いがち。でも多くの人が、子育ての問題を一過性のものと考えず、重大な問題として目を向け始めています。
少子化がここまで来てしまったからなのかもしれませんが、とにかく多くの人にこの問題に関心を持ってもらうことが大事だとわたしも強く感じました。

■2009年暑い熱い夏!
今、自民党のマニフェストがどのように実行されたかの検証が、新聞やテレビのワイドショーをにぎわし、政策が国民の生活にどんなふうに反映されるのかわかりやすく解説されています。

政治は、別世界の話と思っていたわたしも、社会の仕組みや制度を学ぶ必要を感じています。

各党のマニフェストに示される政策がどのくらい実現可能なものなのか、実現されるとしてその財源は、どうなっているのか、各政党はどのような社会をめざしているのか、じっくりと見て、
8月31日の選挙に備えようと思っています。

子育て現役のみなさん、各党のマニフェストで、自分の生活に身近な手当につい目が行きがちですが、長いスパンで見ていくことも大事だと思います。

20年後30年後にこの国を支えるのは、今あなたが育てている子どもたちです。

少子化がどんなふうに社会に影響を与えていくのか、子育て支援だけでなく、年金、医療、介護、雇用問題についてもチェックが必要です。

子どもたちが明るい未来を感じることができる社会にしていくために、今わたしたちに出来ることは、何なのでしょう。
そんなことを考える暑い、熱い2009年の夏です。


 「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
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nana


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