力を抜いて,ゆったりと・・・・


第38回   パリで子育てをしている日本人の母たちとの出会い

■フランスに行ってきました。
9月末から約1週間、フランスと滞在中一泊でイギリスに行ってきました。以前から、いろいろなことが落ち着いたら、30年来の友だちに会いに、パリとロンドンに行きたいと思っていました。

義父の一周忌も終わり、下の娘も無事成人、実家の母は、今のところ介護の心配はなく、NPOの仕事もわたしがいなくても大丈夫な状態。わたしの年齢になると、そろそろ友人の訃報もききます。パリに住む友だちも、今はすっかり元気ですが、半年前に大きな手術をしたそうです。わたしだっていつ病気するか分からなし、思い立ったが吉日、今しかないと思って決行しました。

旅行を考えていた時、たまたまある研究者の取材を受け、その方がフランスにも調査に行かれたことを知りました。そんな経緯で、パリの日本人会にあるSOSママクラブの代表の方を紹介していただき、メールのやりとりをして、「bloom」の試写会が実現する運びになったのです。まさに一石二鳥の旅となりました。

■フランスに到着
 出かける前に、外国での子育て経験を綴ったエッセイなど数冊を読み、日本での子育てとだいぶ違う面があるなあと思い、異国で子育てをしている日本人のお母さんたちといろいろ話してみたいと交流がとても楽しみでした。
到着したのは、日曜日の早朝。少し空港で時間をつぶしてから、タクシーでホテルに行き、6時すぎにチェックイン。
7時になるのを待って、友人に電話をし、ホテルに荷物を預けて、友人宅へ早朝からお邪魔し、クロワッサンの朝ごはんをいただいて、街へ出かけました。

日曜日だったので、お店はほとんど休みです。オルセー美術館に行きたいと思っていたので、まずは、時間があるうちにとオルセー美術館へ。街を歩いて気づいたのは、子どもが多いこと。
美術館でも、子どものグループに解説しているボランティアの方に会いましたし、ベビーカーで、入場している来館者も多数見かけました。
また、子ども服の店や、マタニティ専門の洋服屋さんも目立ちました。

合計特殊出生率が2を超えると、こんなに違うのかなあと、初日から感じたのでした。

■「bloom」上映会
到着した翌々日、いよいよ上映会です。
毎回上映会の前になると、参加者の方々は、「bloom」を観て、どのような感想を持たれるのだろうかと、不安と期待が入り混じった心境になり、緊張します。

会場は、16区の公民館(Maison d'Asociation)でした。16区というのは、東京で言うと田園調布といった感じの高級住宅街です。
公民館がある、Passy駅でスタッフのSさんと待ち合わせをしました。
駅から、すぐのところにある公民館に到着、三鷹で言うと市民協働センターかコミュニティーセンターといった施設のようでした。
受付の公務員と思われる女性が、ベビーカーを押しながら、挨拶するSさんを見て、「ここは、子づれは、リスクがあるから禁止なんですよ。」「エレベーター利用もダメ」などと言ってきて、ややあわてましたが、上司にかけあってくださり、無事ベビーカー組も会場に入れました。
会場は地下でしたが、明かりとりがあり、絵や彫刻が飾ってある素敵なスペースでした。

先に会場入りしていた、SOSママクラブ代表の五条さんとスタッフの方とで、プロジェクターとパソコンを準備ができていました。
飲み物と、お菓子も準備され、五条さんのごあいさつの後、小林が簡単な自己紹介をして、上映が始まりました。
0歳〜2歳くらいのお子さんを連れた方が半分以上でしたが、お母さんたちは、静かに集中して「bloom」を見ることができ、終了後、一人ずつ自己紹介と感想をいただきました。



■パリのママたちの感想
まず、五条さんからの「頭の先から共感という言葉が出ました。力と勇気をもらいました。」との熱いコメントを筆頭に、
「自分の子どもが生まれたとき兄に似ていてびっくりしたことなど自分の体験と重なった。母になって人に興味がもてるようになった。」
「子どもを持って人に尽くしてもらうことを知った。自分の世界に入ってしまって孤独だったが、私だけじゃないと思えた。」
「顔を出し、本音で語っていてよかった。産む前に見てほしい。現実には、もっとつらい話もあるのでは?」

など、それぞれが感じたことを語っていただきました。

「映画に出ている人たちが仲間に見えた。」というコメントが、わたしの印象に残りました。
日本にいても、外国にいても、また人種や国籍が違っていても、みんな仲間なんだと、「bloom」を観てそんな気持ちになったこと、とても嬉しかったです。

一度片づけてて会場を後にし、残れる方だけで、電車で2駅のところにある、韓国レストランでランチをし、話し足りなかったことをたくさん話し合いました。
子どもの育ちについての悩み、今のお仕事のこと、パートナーの実家との関係や、仕事と子育ての間で揺れ動く気持ち・・・・三鷹、いいえ、日本で子どもを育てているお母さんたちと悩みは同じ。

お互いに、初めて会った感じはなく、食事しながら話は尽きませんでした。一瞬パリにいることをすっかり忘れていました。



■母たちの想いは同じ
子育てしやすい国と言われるフランス。さすがに公園や、道でたくさんの子連れ親子や保育ママさんを見かけました。
週末の公園では、パパが子どもを遊ばせる姿が目立っていました。

フランスでは、子どもを預けて母親が出かけたり、夫婦で外出を楽しむことは、日本よりも自然に行われていて良いのですが、親子で楽しめる企画が少ないとの声も聞きました。
ともあれ、妊娠、出産、育児をめぐる女性たちの想いや悩みは、どこにいても同じだなあと感じました。

次回は、海外の子育て事情について、書いた本のレポートをする予定です。。
同じところ、違うところ、参考にできるところ、文化の違いで参考にならないところなど見ていきたいと思っています。
 


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nana


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2009年10月号

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