第43回 子育て支援と政治について考える夏〜その2
■政権交代から、ほぼ1年
昨年7月に書いた、このエッセイの第36回は、衆議院が解散し総選挙となった時でした。そして、その1ヶ月後政権交代が実現しました。
しかし、早くも鳩山首相が辞任、その後菅首相になり、議院選挙を今週末に控えています。
この一年を振り返って、民主党のマニフェストは、どのように実行されたのか、されているのか、あるいはされなかったのか、そんなことを考えながら、新聞やテレビのニュースを見ています。
子ども子育て支援NPOとして注目していた、子ども手当は、半額の13000円で支給が始まりました。父子家庭の児童扶養手当がも出るようになりました。
でも、待機児などの問題は山積です。
■「にっぽん子育て応援団結成1周年記念フォーラム第1回子ども・子育て応援会議」に行ってきました。
エッセイの第36回で、これまでの四つ葉プロジェクトや、子育てにっぽん応援団の動きについて、振り返りましたが、それから1年、5月29日に「にっぽん子育て応援団結成1周年記念フォーラム第1回子ども・子育て応援会議」が開かれ、わたしも行ってきました。
テーマは、
「みんなで考える 子ども・子育て新システムに必要な視点」
子ども・子育て家庭を取り巻く課題は、子ども手当の財源問題に関心が行っていましたが、幼保一体化を含む包括的・一元的なシステムづくりが、政府の中で検討されていることをご存知でしょうか?
「本当に子どもが大切にされる社会になるの?」
「子どもたちに安心できる未来を残してあげられるの?」
政府案を待っているのではなく、市民活動団体・NPO、自治体、企業、当事者など、みんなが考えていこうということで、このシンポジウムが開催されたのです。
■第3分科会には、三鷹市長も参加
4つの分科会に分かれて意見交換が行われました。
☆第1分科会 「子育て当事者がかたちづくる新しい仕組み」
(対象:NPO・市民団体・当事者)
座長:勝間和代団長
地域の実情にあった仕組み、かつ、実践者の不安のない仕組みをどう作っていくか、実践者はどうかかわるか、自治体にどう働きかけていくか、を議論しました。
コーディネーター: 奥山千鶴子さん (にっぽん子育て応援団企画委員)
1.子ども・子育て新システムについて 川又竹男さん(内閣府少子化対策担当参事官)
2.子ども・子育て新システム検討会議ウォッチング&勉強会報告 奥山千鶴子さん
3.子ども・子育て新システムで、何がどう変わる?シミュレーション・ワークショップ
☆第2分科会「パパが考える子育てしやすい職場と社会」
(対象:父親、企業、労働組合など)
座長:ファザーリング・ジャパン
「パパがもっと子育てに関われる社会を作るために、ワークライフバランスやパパの子育て支援などをどう進めるか、
新しい子ども・子育ての仕組みに何を盛り込むべきか、一緒に考えました。
☆第3分科会 「首長からの発信〜子育て応援自治体サミット〜」
(対象:自治体首長サポーター登録者・行政職員など)
座長:樋口恵子団長
コーディネーター: 樋口恵子さん (にっぽん子育て応援団団長)
この分科会には、三鷹市清原市長も参加され「次世代育成支援 わが町の取り組み」についてお話をされました。
三鷹市は、市長就任以来、「健やかに育ち笑顔がきらめく子ども・子育て支援」を最重点プログラムのひとつに位置付け、「三鷹市次世代育成支援行動計画2010」(前期計画)の策定、推進、その後の国の動向を踏まえて、平成21年3月に「三鷹市子育て支援ビジョン」を策定しました。また、この3月には、「三鷹市次世代育成支援行動計画(後期計画)」もまとまり、地域全体で支える「子ども支援」と「子育て支援」を重視した、取り組みが進められています。「三鷹市次世代育成支援行動計画(後期計画)」は、市役所や市民協働センターなどで読むことができます。市民として、三鷹市の次世代育成支援についてどんな取り組みがあるか知っておくことも必要だと思いますし、市長が、子ども・子育て支援に積極的に取り組んでおられることは、とても心強いです。
☆第4分科会「全ての子どもたちを排除しない仕組みづくり」
(対象:病気や障害のある子ども、不登校や保護の必要な子どもへの支援を行うNPOなど)
座長:堀田力団長
今の日本の制度や仕組みの中から、こぼれ落ち、つらい思いをしている子どもたちがいない社会にするためには、どんな視点で考え、何をすべきなのか。NPOや専門家の先生のご意見も伺いながら、提言をまとめます。
コーディネーター: 堀田力さん (にっぽん子育て応援団団長)
助言者:松原康雄さん(明治学院大学副学長 社会学部社会福祉学科教授)
詳しくは、コチラのサイトをご覧ください。http://nippon-kosodate.jp/topics/topics.cgi?ID=00082
■「子ども・子育て新システム」って何?
わたしは、第一分科会に参加。座長は、勝間和代さん。
NPOや、当事者、子育て支援関係者が参加、「子ども・子育て新システム」について川又竹男さん(内閣府少子化対策担当参事官)の説明を聞きました。
「子ども・子育て新システム」って何?という思いで、お話しを聞いていましたが、前日の福島少子化担当大臣の罷免、先行きの不安を感じずにはいられませんでした。
この新システムが分かりにくいということで、コーディネーターの奥山さんのこれまでのウォッチングされたことを、わたしたちにわかりやすく、レポートされ、その後現場の人間として何を提言していけばよいかを、グループに分かれて討論し、さまざまな意見が出ていました。
そして、分科会として提言したのは、以下のことでした。
1.この国の子育てについての理念が見えてこない.
2.子どもに関わるサービス、人材育成を含めたゆるがない財源の確保。
3.住民代表や多様な団体の参画の必要性。
4.サービスの多様性を保証すること。
5.評価システムを制度に組み込むこと。
また、分科会終了後第2部の全体会は、ゲストに、内閣府より泉健太 内閣府大臣政務官が駆けつけました。
そして、4つの分科会でまとめられた提言は、全国の子育てひろば・サロン・保育園・幼稚園・プレーパークなどに集まる子どもたちの手形で作られた鯉のぼりと一緒に、国会に届けられることになりました。
■子ども・子育ての問題は、すべてに繋がっている重要事項
子ども・子育ての問題は、教育、医療、福祉、雇用、男女共同参画など、社会のあらゆる問題に直結しています。
そして、今、介護保険ができた時のように、「子ども・子育て新システム」が作られています。来年1月には、国会に法案が提出される予定だそうです。
せっかく子ども・子育てに関する重要なシステムが作られるのだから、その前に、実際に子育てに関わる国民の意見を出していかなければ、国民が議論しなければというのが、子育てにっぽん応援団の想いでしょう。
「子ども・子育て新システム」の中には、もちろん、幼保一体化も入っていますし、待機児童解消のための、多様な保育サービスの検討も入っています。
昨年も書きましたが、政治に無頓着だったわたしも子育て支援のNPOに関わることになり、いろいろ勉強しなければいけないと痛感しています。
先日、四つ葉プロジェクトで、子どもマニフェスト比較研究会が開かれました。
9政党の子どもマニフェストについて、読売新聞の榊原さんが解説してくださいました。そこに、内閣府大臣政務次官の泉健太さんが、かけつけ、「子ども・子育て新システム」についての説明と、質疑応答があり、前回のにっぽん子育て応援団のシンポジウムでは、漠然としか見えなかった、このシステムの重要性や、今支援者や支援される側がこのシステムを知って、意見をあげなければいけないということもよくわかりました。
子ども・子育ての問題は、あまり重要でないと考えていた、50代以上の方々も、様々な努力をしているのに、少子化がなかな止まらないこと、また、このまま放置できないと考え始めたようです。面白かったのは、9政党のマニフェストの中で、「たちあがれ日本」の子育てマニフェストが、「生涯現役・女性活躍社会への転換」をキャッチフレーズに、出産後の女性の継続就業率を欧州並み55%へ、女性管理職比率も30%以上へなど具体的な数字をあげて打ち出していたことでした。
裏返すと、それほど少子化が、この国に今後与える影響の大きさを感じます。
■社会全体で考えたい、子育ての問題
昨年の「にっぽん子育て応援団」結成の時は、「とにかく子どもや子育ての問題に関心を持ってもらおう。」という声が多かったのですが、それよりだいぶ今年は進んでいると感じています。
待機児童解消が大きな問題になっているため、保育サービスが、ビジネスになると考えて参入してくる人たちもいるかもしれませんが、子ども・子育てを取り巻く問題は、多岐にわたり、あらゆることにつながっています。
だから、社会全体でこの問題を考え解決していかなければいけません。
わたしたちもNPOとして、身近なところから、出来ることをコツコツやっていきたいと思っています。
固い話しになってしまいましたが、未来を生きていく子どもたちが、夢や希望を持てるように、時には、面倒と思っても、勉強してみることも必要かもしれません。
もうすぐ夏やすみ、子どもと真っ黒になりながら、毎日外で過ごした日々を思い出します。
子どもは外が大好き、日焼けも気になるところですが、一緒に遊んだ一時期の思い出は一生ものです。
時間のゆるす限り子どもに付き合って楽しい夏休みを過ごされますように!
「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
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悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
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nana
2010年7月号