力を抜いて,ゆったりと・・・・


第46回   子どもの虐待について


■秋は映画の季節
秋も深まり、寒い日も増えてきました。秋は読書や芸術に親しむ季節。映画鑑賞も良いですね。

最近観た映画で気になったセリフがありました。「子どもを産む決心をするのは、顔にタトゥーを入れるのと同じくらいの勇気がいる」というセリフ。主人公の友だちの言葉なのですが、
さすがアメリカ!そんな比較が成立するのか?という驚きと、女性の人生が選択可能になったことと、現代社会では、子育てはそれほど大変なことなのだという認識を新たにしました。

■映画のなかのワンシーン
映画といえば、他にも、こんなシーンがありました。子どもの誕生会の準備でケーキをデコレーションしているシーンでした。ママに電話がかかってきて、ママはおしゃべりに夢中、放っておかれた子どもが真っ赤なジャムを、高級ブランドの真っ白なスカートにべったりとつけてしまうのです。
ショックでカーッとなったママは、さっとパントリーに入り、中から鍵を閉めて子どもを入れなくして、深呼吸をしたりして、とりあえず自分の怒りを鎮めようとします。
そうしないと、子どもに手をあげてしまいそうだったからです。
普通の娯楽映画に出てきた印象に残ったシーンですが、子どもや子育てはいずこも同じだなあと妙に納得しました。

今、虐待が大きな問題になっていますが、大なり小なり子どもを育てていると、貧しいか裕福かには関係なく、どんな家庭でも思わず子どもに手をあげそうになったり、または、実際に叩いてしまったりということは、あるでしょう。

■子どものいたずらや、わがままにカッと来たら
虐待と一口に言っても、さまざまなケースがあり簡単な問題ではありません。
子どものいたずらや、わがままにカッと来るというのは、誰にでもあることなので、とりあえず手をあげないように、深呼吸をしたり、子どもから離れ一人になるなどの工夫が必要です。
もし、手をあげてしまったら、しっかり子どもの目を見て、どうしてそうしたのかを言い謝りましょう。そしてしっかり抱きしめてあげましょう。

「自分の子どもを愛せない。」「子どもの世話ができない。」と悩んでいる方は、まず誰かに相談することをお勧めします。
身近に相談する人が思い浮かばないときはとりあえず、この相談コーナーに載っているところで、ご自分に合いそうなところに電話をしてみましょう。
最近は、同じような悩みを持つ親同士の勉強会もあるようです。子どもとの上手な接し方を知るだけで、親子関係が楽になることがあります。

■虐待と勘違い
また、最近の新聞の投書欄に、虐待と勘違いされた体験を書いたものがありました。二人の子どもの泣き声をきいて、隣人が児童相談所に通報し、相談員の訪問を受けたというものです。
虐待などとんでもないと必死で説明したそうですが、思い違いをされたことに当初は腹が経ったけれど、二晩ほどたって、よくよく考えてみたら、イヤイヤ期の3歳の娘と、我の強い5歳の息子の泣き声は、たび重なれば、虐待を疑われても無理がないと思いなおし、当初の怒りが、近隣の住人が関心を向けてくれたことや児童相談所の素早い反応への感謝の念に変ったということでした。

■大人は、地域の子どもたちへ温かいまなざしを
少子化が問題になって、10年以上、子どもの数は減っており、普段子どもと接する機会は、どんどん少なくなっています。
小さな子どもを育てていると、どうしても叱ったり、怒鳴ったり、そして子どもは、良く泣きます。このところの虐待による子どもの悲しい事件が続いているので、通報した方の気持ちもよくわかります。
しかし、上記の投書者と、通報したご近所の方が、顔見知りであれば、また子育てへの地域の理解がもっとあれば、きっとこんな誤解はなかったでしょう。
10年ほど前、私自身も似たような体験がありますが、顔見知りの方でしたので、通報などは考えもしませんでした。
しかし最近は、あまりご近所とのお付き合いがないので、同様のことが起こった時には、通報したほうが良いではないかと思案するのではないかと思います。
地域コミュニティーの再生が必要だと感じます。

社会全体で子どもの育ちを支えていけるように、大人は、地域の子どもたちや子育て家庭への温かいまなざしを忘れてはいけないと思います。

オレンジリボン運動

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nana


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2010年9月号

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