第47回 「子育てしやすい環境」についてみんなで考えよう!
■にっぽん子育て応援団第3回子育て応援フォーラムに行ってきました。
「子ども・子育て新システム」という言葉が、新聞やテレビなどでずいぶん取り上げられるようになってきましたが、新システムの内容については、まだ一般にはあまり知られていません。
そんな中、10月24日にっぽん子育て応援団第3回子育て応援フォーラムが、女性と仕事の未来館で開催されました。
テーマは、「子どもが輝く心豊かな社会を目指して 〜「子ども・子育て新システム」で実現するの?!〜」
■「子育てしやすい環境」に必要なもの
第一部は、「子どもが輝く心豊かな社会とは?」と題して進められました。
まず、岡崎トミ子少子化担当大臣ご挨拶があり、スライド「7年後の日本の子育てはどうなる」が、上映されました。
このスライドは、近未来予想のシナリオとして、2017年のある家族(夫36歳(育休中)・妻33歳(短時間勤務で復職)・長女4歳こども園入園中・
長男1歳2カ月こども園入園決定)の様子を、にっぽん子育て応援団の期待を込めて描いていました。さて、7年後こんな風になっていればいいのですが・・・
その後、応援団長のお一人である勝間和代さんが登場。
「子育てがしやすい環境」に必要なものというテーマで話されました。
子育てしやすい環境には、「お金」と「時間」と「将来の希望」が必要ですが、デフレが長期化し、経済成長率が鈍化しているため、お金については、非正規雇用に伴う収入減、時間については、正規・非正規を問わず実質労働時間は増えているという厳しい現状があります。
そんな中最大の子育て支援とは、「政府でしかリードできない課題を解決する」こと。
その内容に、 正規、非正規均等待遇の実現、長時間労働規制、デフレ・過度な円高の是正、 公教育の充実、少人数学級制度、教育プログラムの柔軟化など、地方自治体への大幅な財源・権限の委譲と、ミニマムサービスレベルの規定をあげていました。
■子育ての問題がコップの中の嵐で終わらないように
そこで、6月に発表した、にっぽん子育て応援団の5つの緊急声明についてどうしたら実現できるか分析されました。
5つの声明とは、
・子ども政策向けの財源確保によるサービスの地域間格差・不均衡の是正
・きめ細やかで切れ目のない、体系だったサービス提供
・子育て家庭や支援団体、企業など多様な関係者(ステークホルダー)の参画
・一元的な給付と拠出のシステム作りのための財源の統合
・地域の創意工夫と人々の信頼やつながりの構築
です。
そして、 一人ひとりができることは、
・ 問題を個人で抱え込みすぎないこと。
・ 現状を説明し、まわりに愚痴ではなく、問題解決の手助けを得ること。
・選挙に行き、パブリックコメントを出すこと、出来る限りの手段で発信をすること。
・ 個人の課題から、社会への視点を広げる働きかけをすること。まずは情報共有から。
子育ての問題が、コップの中の嵐で終わらないように、このことを一人ひとりが10人の人につぶやきましょうと締めくくっていました。
お話しを聴いていて、頭の中が整理された感じがしましたが、一層現実の厳しさが身にしみました。
■新システムの寄せられた期待と不安
第二部 パネルディスカッションは、応援団事務局松田妙子さんの「全国勉強会報告」から始まりました。
全国各地で新システムに寄せられたことを、期待と不安そして必要なものは何か、具体的な提案と言う流れでまとめ、分かりやすく説明された後、掘田力団長のコーディネートで、パネルディスカッションが行われました。
こちらも、新システムへの、期待と不安についてパネリストがコメントしていました。
パネリストは、以下の通り。
岡本聡子さん NPO法人ふらっとスペース金剛 代表理事
木村裕香さん (株)NTTドコモ人事部ダイバーシティ推進室長
駒村康平さん 慶応大学経済学部教授
榊原智子さん 読売新聞東京本社 生活情報部 記者
中島圭子さん 連合 総合政策局長
山田正人さん 横浜市副市長
子育てNPOの岡本さんは、「いよいよ出番だ!」という期待の気持ちと、「ええとこどりだけはでけへんで!」という不安を、NTTドコモの木村さんは、ご自身の体験から小1の壁の高さに気づき、切れ目のないサービスに期待する一方、7年後10年後では、間に合わないとスピードに不安を持っていました。
「すべての子ども・子育てを社会全体で支えるチャンス!」、「本物の”子育ての社会化”」を期待する声と、「足りない保育サービスの供給確保」、「財源の確保」、「もっとも弱い立場にある子どもと親を支援」などへの不安が出されていました。
末松義規副大臣のコメントがあり、会場との意見交換の時間には、活発に意見が出されていました。
■少子化はおんなのストライキ
最後に、 樋口恵子団長が、ご自身の体験から、 もっと産みたいのに、仕事と両立しようとしたら一人しか産めなかったことを話され、今の少子化は「おんなのストライキです。」とおっしゃいました。わたしも同感です。
また、子どもを持ったからこそ社会と繋がり親も子供も一緒に育って行けるのだから、子ども・子育て新システムは、これまでの社会を変える、結婚して仕事を辞めなくても良くなれば、女性の生き方も変わるし、結婚し、子どもを持つようになるだろうと、 国がブレずにしっかりと続けていけばいずれは実現すると心強いお話しをされました。
にっぽん子育て応援団のもう一人の団長安藤パパが、終わりに駆けつけ、樋口団長に赤いバラを一輪プレゼント!
事務局スタッフと安藤さんが会場の参加者と一緒に「ビューティフル・ネーム」を歌い、盛会のうちにフォーラムは終了しました。
■当事者が声を上げなければ
第3回子育て応援フォーラムを駆け足で振り返りましたが、にっぽん子育て応援団が結成されて以来、どんな方向に進むのだろうと見守って来ましたが、今回のフォーラムに参加して方向と形が見えてきたように感じました。
子育ての現場は、当事者の一番近くにいるわたしたち地域の子育て支援団体やNPOが、声をあげて形にしていかなければいけないということ。
そのためには、地域の課題を出し合って、解決方法を話し合いそれを形にしていかなければいけません。そして、忘れてはいけないことは、子どもが主役ということです。親の都合で制度がつくられるのでは、本末転倒、十分気をつけなければいけません。
「子ども・子育て新システム」について、その中の大きな課題幼保一体化について最近、新聞に大きく取り上げられ、子どもを育てている当事者の親たちが新システムについて関心を寄せ始めました。
今後、さまざまな立場の人々から、さまざまな意見が出ることでしょう。しかしこの問題は、今、きちんと多くの人が議論しなければいけない問題だと思っています。
子ども・子育ての問題は、保育園、幼稚園の問題にとどまらず、男女共同参画、ワークライフバランス、雇用、少子化、高齢化などすべての問題につながっていて、日本の10年後に良くも悪くも結果を落とすものだからです。
にっぽん子育て応援団について、もっと知りたい方は、コチラから。
子ども子育て新システムについて、詳しく知りたい方は、コチラから。
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nana
2010年12月号