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力を抜いて,ゆったりと・・・・

第62回秋の訪れ


■人生の秋
厳しかった残暑が収まり、暑かった今年の夏もそろそろおしまい。秋風が吹来始めるとなんだかちょっとさみしい気持ちになるのは毎年のことなのですが、今年は、その気持ちはいつもより大きく感じます。
今年から、我が家は様々な事情で、家族がバラバラに暮らし始めました。
時には、2人だったり、3人だったりもしますが、家族四人が、毎日わいわいにぎやかに暮らしていた日々が懐かしく思い出されて、時の過ぎゆく速さを痛感しています。
わたしの人生も、もう秋です。

■一人の食事
バラバラの生活で、一番不自由なのが、食事です。あこがれのおひとりさま、最初のころは、一人の食事は楽でよかったのですが、これまでのような買い物の仕方をしていては、毎日同じものを食べることになり、それでも余って食材を無駄にしてしまいます。
それではいけないといろいろ工夫をします。
でもそのあとに気付いたのは、一緒に食べる人がいない味気なさ。作り甲斐のなさ。
自由な一人暮らしがやめられないという人もいるけれど、基本的に人が好きなわたしには、向いていないのではと気がつきました。

■戻ってきた時間
下の娘が幼稚園に入ったとき、「やっと一人の時間ができた!」と喜んで、送り出した後にゆっくりお茶を飲んだ日をまだ忘れていませんが、それから、本当にすこしずつ、すこしずつ、家族のために使っていた私の時間は、戻ってきました。
冬は真っ暗なうちに起きて、毎朝作ったお弁当も、いつしか卒業の日を迎え、保護者会や学校行事に行く回数も少しずつ減り、もうそのような用事もありません。
私自身としては、親権は20歳までなので、子どもの20歳が、わたしの子育ての節目だと思ってきました。
そこまでに、身辺の自立ができるようにしておけば、わたしがいついなくなっても大丈夫だと、心のどこかでそう思って、頑張ってきたように思います。
もう2人とも20歳をだいぶ過ぎ、親がいなくても大丈夫、むしろここでわたしが病気にでもなったら、逆に足を引っ張ることになるとあわてて人間ドックを受診しました。
毎年家族四人で出かけていた、野外の音楽フェスも、今年は娘と3人でしたが、娘側から見ると、「老親介護」参加というスタンス。もう今年で最後になるかもしれません。
これから残された時間をいかに楽しく有意義に使おうかと考える余裕が出てきたのも最近のことです。

■子育ての彼岸とは?
もう10年以上も前のこと、子どもの小学校の一日家庭教育学級に無着成恭先生が講演に来てくださいました。
講演のテーマや内容は覚えていませんが、「おかあさんがた、いろいろ子育てで悩んだり大変だと思いますが、わたしくらいの年になると、彼岸がみえてきますよ。」
みたいなことをおっしゃったのをなぜか覚えて言います。
「子育ての彼岸が、わたしにもいつか見えてくるのだろうか?」と、不登校児の母だったわたしは、時々この言葉を思い出していました。
彼岸とは、「彼岸(ひがん)とは、煩悩を脱した悟りの境地のことで、煩悩や迷いに満ちたこの世をこちら側の岸「此岸」(しがん)と言うのに対して、向う側の岸「彼岸」という。」と、ウイキペディアにありましたが、子どもが独り立ちするまで、どこの家庭でも多かれ少なかれいろいろなことがあります、それは本当に煩悩や迷いに満ちていたと今更ながら思いますが、子どものためだったら、こんな私でも、必死になるというのも親になって初めて分かったことでした。
自分のためにはここまではしないということも、子どものためと思えばこそということもありました。

結果として何が良かったか、悪かったかなんてわかりませんが、今言えるのは、自分なりに、その時出来ることを一生懸命やっていたら、うまくいかないことがあってもなんとか乗り越えられるということでしょうか。

先週は、お彼岸でしたので、久しぶりに家族四人でお墓参りが出来ました。
子どもたちが小さかった頃、たくさん遊んでくれた祖父母の思い出は、子どもたちのこころに生き続けています。
そして、祖父母がきっと彼岸から子どもたちを守ってくれていると思えるのもまたありがたいことです。

■世代と世代をつなぐ子育て
子どもを育てることは、世代と世代をつないでいくことだと、最近つくづく感じます。
移り変わりの速いこの時代。
でも、子どもを産み育てるという営みは、永遠に変わりません。
親から子、子から孫へと、人を人が育てながら、育てている人もまた育っていく。
先日、小中学生1200人への調査の結果、86%が「友より家族が大切」と答えたという調査結果がありました。
「東日本大震災の影響などで不安を抱え、身近な生活を大事に思う子が増えたのではないか」ということです。
いじめの問題、虐待の問題が、テレビや新聞で毎日のように報道され、気が滅入りますが、家族の大切さを感じている人々が増えているということは、本当に喜ばしいことです。

■10年間の活動を振り返って
10年前には、思ってもみなかったことですが、私があるきっかけから、子育て支援のNPO活動を始めて10年がたちました。
歳を重ねるごとに感じるのは、現役世代の方々と気持ちを本当の意味で共有できないという悩みです。
20年以上前の自分のことを思い出して、共感はたくさんできますが、どこまで今この時代を生きるお母さんたちの悩みや気持ちに寄り添えるのか正直自信がありません。
子育てを始めたばかりのお母さん方との年齢差がもう親子ほどになってきました。
私からは、特に年齢差を意識はしなくても、あちらから見れば明らかにおばあちゃん世代です。
会話がかみ合わなかったり、話しにくかったりしないかと最近気になります。
持っているのは、多少の経験だけ、これからは、私が役に立つことがあるならば、自分の出来る範囲でこの活動を続けていければと思っています。



 「子育ての悩み相談しましょう」コーナーにエッセイを連載中です。みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
 子育てをしていて、嬉しかったこと、驚いたこと、困ったこと、つらかったことなど、子育てをして感じた様々なことを、みんなでおしゃべりしてみませんか?
 子育てコンビニでは、毎月「子育てコンビニひろば」という集まりを開いています。子育てコンビニのスタッフ以外は毎回新しい方の参加があり、いつも同じメンバーの集まりではありません。
 悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
 皆様のご参加やメールでのお便りなどお待ちしています。


nana


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2012年10月号

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