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力を抜いて,ゆったりと・・・・



第73回 映画で共感

■映画「理想の出産」
新学期が始まり、少し落ち着いてきたところでしょうか?
朝の時間はバタバタと忙しいけれど、、家族を送り出した後、ほっと一息できる時間のありがたみをしみじみ感じる頃ですね。
テレビやDVDを見たり、音楽を聴いたりできる自分の時間も少し戻ってきましたか?

最近は、インターネットでDVDを予約して郵送で届けてくれるシステムなども普及し、昔よりもずっと気軽に映画を楽しめるようになりました。
子育て中で外出がままならない方もきっと重宝されているのではと思います。
わたしも、ネット予約のDVDを利用していますが、昨年の暮れ劇場公開されて観たいと思っていた映画が貸し出されていたので早速予約をかけました。

その映画というのは、「理想の出産」。
タイトルから出産についてのドキュメンタリーのようなものかなと思っていたら、それは、男女の出会いから始まり、妊娠、出産、育児、それにまつわる夫婦の葛藤を描いたドラマでした。
妊娠期間や出産、初めての育児に悪戦苦闘の若い夫婦の現実がとてもリアルに描かれています。

■映画に描かれる女性の本音はいずこも同じ
主人公バルバラは大学院生。レンタルビデオ店で働くニコラと恋に落ちるところから物語が始まります。
すぐに一緒に暮らし始める恋する二人は、アパートをリフォームしたり、旅行したりと本当に幸せそのもの。
自然な流れで子どもが欲しいと思って、バルバラは妊娠。母になる喜びに包まれますが、妊娠中の体の変化、つわり、検診、出産に至るまで大きなお腹を抱えた不便な暮らし、そして出産を経験します。

バルバラは、初めての育児に自信が持てず落ち込みますが、無事に退院して親子3人の生活が始まります。
ニコラは、生活を支えるためサラリーマンになり、バルバラは、大学院の研究も進まず、将来に不安を感じながら、家で子育てという暮らしとなります。
夜泣きに悩まされ、子どもの世話に疲れ果て、夫婦の間が少しずつうまくいかなくなり・・・・・・というストーリーなのです。

場面場面で細かく描かれた女性の本音は、「bloom〜生まれたのは私」と通じ合うところばかり。
ああ、日本だけでなく、フランスでも現代女性は同じ思いで、妊娠、出産、育児と向き合っているのだなあと改めて感じました。
日本よりもずっと子育てがしやすいと思われているフランスですが、それでも、子どもを産み育てることの現実は同じ。
もちろんそれに伴う喜びもまた同じ。

■出産は幸せな出来事
原作は、フランスのベストセラー作家エリエット・アベカシスの自伝的小説だそうですが、それをフランスの新鋭レミ・ブザンソン監督とパートナーのヴァネッサ・ポルタルの共同脚本で映画化。
監督は女性かと思ったら、意外にも男性監督でした。

ブザンソン監督は、原作を読んでとても感銘を受け、自分のなかの様々な価値観が一度壊れ再構築されるように感じたと言います。
「どうして誰もこのことを自分に話してくれなかったのだろう?どうしてこのことについてみんな語らないのだろう?」と。

「出産や母親となること、そしてそれに伴うすべては、女性の人生にとって最も美しい時だ。」と常々語られている母のイメージを壊したいと最初に思ったそうです。
もちろん、それも少しはあるけれど、赤ちゃんを持つことが、幸せの源ではないし、現にフランスでは、25パーセントのカップルが、子どもの誕生後1年以内に離婚しているのです。

出産後の子育てによって、これまでの生活に関わる様々なことに変化が強いられます。そこが難しいところなのです。
エリエット・アベカシスはこれまでのタブーを破って、自分の体験を赤裸々に綴りました。それを通して多くの女性たちは共感を覚えたのです。
ブザンソン監督は、そこに映画化する価値を見出しました。

ちなみに日本のタイトルは「理想の出産」ですが、原題は、UN HEUREUX EVENEMENT/A HAPPY EVENT となっていて、ニュアンスの違いを感じますし、出産を「幸せな出来事」ととても肯定的にとらえていることがわかります。
わたしは、この映画の他にも、出産、育児の現実をテーマにした面白い映画が、世界中に思った以上にたくさんあることに気がつき、もっといろいろ観たくなりました。

■映画で人生を学ぶ
NPO法人子育てコンビニで2008年に製作した映画「bloom〜生まれたのは私」は、初めての妊娠、出産、育児の体験を三鷹のお母さんたちにインタビューをしてリアルな声を集め編集したものです。
ドキュメンタリーなのでストーリーはありませんが、インタビューで語られた言葉は、観る者の心に響き、深い共感をもたらします。
子育てコンビニの映画担当のメンバーから、もっと多くの人に見ていただくための情報発信の手段として「bloom通信」を作ってはどうかという提案がありました。
その中で、出産、育児にまつわる世界中の様々な映画の紹介もできると幅が広がって楽しいのではないかと思っています。

この秋、映画館にはなかなか行けなくても、ちょっとした時間を見つけて、DVDで映画を楽しんでみてはいかがでしょうか?
娯楽ものは、現実を忘れて気分転換に最適ですが、子育てをしているときは、自分と子ども、自分と親との関係や、夫婦関係などさまざまな悩みに直面します。
そんな時、親子関係や夫婦関係など家族をテーマにした映画を見ることで、視野が広がり、自分の知らない世界、知らない人々の人生から何かを学ぶことができます。
そして、観た感想を誰かと語り合えると前向きな気持ちになり元気が出てくるのではないでしょうか。


 みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
 子育てをしていて、嬉しかったこと、驚いたこと、困ったこと、つらかったことなど、子育てをして感じた様々なことを、みんなでおしゃべりしてみませんか?
 子育てコンビニでは、毎月「子育てコンビニひろば」という集まりを開いています。子育てコンビニのスタッフ以外は毎回新しい方の参加があり、いつも同じメンバーの集まりではありません。
 悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
 皆様のご参加やメールでのお便りなどお待ちしています。


nana


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2013年9月号

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