第89回 ゆるやかなつながり
■風邪に気をつけて
暦の上では、立春ですが、まだまだ、寒さが厳しく、風邪だけでなく、インフルエンザが猛威をふるっているようです。
今の季節とりわけ小さなお子さんを育てているご家庭では、外出時のマスクと帰宅後のうがい、手洗いが欠かせませんね。
家族の健康管理に気をつけて、うっかり自分の事がおろそかになっていませんか?
お母さんも無理をしないように、時には何かをお休みしてご自分の身体を労わる事も忘れないようにしましょう。
ある雑誌に出ていたお話しが興味深かったので、今月はそのことを書いてみようと思います。
■自殺率の低いまち
ある雑誌の新春座談会を読んでいたら、興味深いお話が載っていました。
日本は自殺大国と言われていて、全国一律に自殺率が高いという事はご存知でしょうか?
自殺予防の運動なども盛んになっています。そんななかで、自殺率がとても低い地域があるという事に気づいて研究をした方がいらっしゃりました。
30年間の統計で、徳島県の海部町(現・海陽町)が、きわめて自殺の少ないまちなのだそうです。
人口3000人ほどの小さな町なのですが、近隣のまちも含め約3300人にアンケートをした結果、何が自殺をおさえる条件かが浮かび上がったと言います。
■5つの特徴
アンケートの結果から、住民の特徴として以下の5つがわかったという事でした。
1.排他的でない事。
2.人物本位主義。つまり、家柄や財力、役職や学歴などで評価を決めない。さまざまな評価軸を持っている。
3.問題解決能力があり、自分にも何かできると思える感覚「自己効力感」がある。
4.悩みがあったら、相談することが徹底している。
5.隣人とゆるやかにつながっている。
歴史の長い共同体だと身内の結束は強くても、他所から来た人はなかなか入りづらくいつまでも馴染めないという話をよく聞きます。
どうもこのまちは移住者がどっと入ってきてっできたという歴史的背景があるようでした。
■緊密なつながりとゆるやかなつながり
他所から入ってきた人に家柄などを誇っても相手にされないということもあり、このまちでは、人物本位の評価軸が出来たのでしょう。
また、つながりが緊密な他の地域は、隣人と緊密に付き合っているにもかかわらず、人に迷惑をかけたくないと思うあまり、よほどのことがない限り人に「助けて」と言えないという事実が見られました。
この海部町は、緊密なつながりではなく、挨拶程度や立ち話程度の「ゆるくつながっている」と感じる人とのつながり合いの形があるのだそうです。
そういったゆるやかな人とのつながりが、自殺をおさえる条件なのではないかという事でした。
■子育てで知った地域社会の大切さ
わたしは、このエピソードを読んだとき、なんだかなるほどと納得できる気がしました。
親戚や長い間の近隣との緊密な人間関係がとても重く感じられた地方の実家にいた頃、人付き合いに気を使わないでよい都会での自由な暮らしは憧れでした。
でも、結婚して家庭を持ち子育てを始めると、それはとても孤独でつらいことでした。
子どもをもつことで、地域社会との繋がりが始まります。そこで、困ったり、悩んだり、助けて欲しいと思う事がたくさんありました。
近くに親がいたらどんなに心強かったかと初めて思ったのも子育ての時だったかもしれません。
人間関係の第一歩は、親子、夫婦から始まりますが、その次は地域社会とのつながりだと思っています。
■地域社会で人とゆるやかにつながって暮らす
地縁血縁を避けて都会暮らしをしている人たちが多い東京ですが、高齢化社会になり地域のつながりが再び重要視されてきました。
高齢者だけでなく、子育て世代も地域のつながりが必要です。
震災などの被災地で仮設住宅に暮らす方々にとって、お茶会などみなさんで話しをする時間とそこで生まれるゆるやかな関係が生きる力になっているという話をよく耳にします。
人と人とのゆるやかなつながりが、人を助け、元気にもするのだと最近感じています。
■新しい出会い、ゆるやかなつながりを作っていきましょう!
自殺率の低いまちの5つの特徴は、地域での人間関係を作る上でとても参考になるのではないかと思います。
排他的でなく、人物を見る確かな目を持ち、自分にも何かできると信じて、悩みがあったらすぐに誰かに相談できる、ゆるやかな関係の人とのつながりを持ちながら暮らせると、子育ても老後も安心ではないでしょうか。
みんなが、ちょっと意識をするとできることではないかなと思います。
都会の暮らしはどうしても孤独になりがちです。
今は、子育て中の親子が参加できる講座やイベントがたくさんありますのでそういうところにどんどん出かけてみるといいと思います。
またご自分の興味のある事、やってみたいことなどもチャンスを作ってやってみるといいですね。
たくさんの良い出会いが待っていると思います。
そんなところから、挨拶程度や立ち話程度ができるゆるやかな関係が始まるのだと思います。
みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
子育てをしていて、嬉しかったこと、驚いたこと、困ったこと、つらかったことなど、子育てをして感じた様々なことを、みんなでおしゃべりしてみませんか?
子育てコンビニでは、毎月「子育てコンビニひろば」という集まりを開いています。
子育てコンビニのスタッフ以外は毎回新しい方の参加があり、いつも同じメンバーの集まりではありません。
悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
皆様のご参加やメールでのお便りなどお待ちしています。
nana
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2015年2月号