HOMEそうだん力を抜いて、ゆったりと・・・>第90回 バナナケーキの思い出

相談 力を抜いて、ゆったりと・・・


第90回 バナナケーキの思い出

■3月になりました
梅の花も咲き、桜の開花が楽しみな季節になってきました。
そして学年末という節目の時期です。
3月は、子どもを育てていたころのあれこれをかすかな胸の痛みとともに思い出す時期でもあります。
子育てをしていた時代に良くお菓子を焼きました。
その中でも繰り返し作ったのが、バナナケーキです。
バナナケーキは、良く熟したバナナを使うと甘みが増して美味しいので、買っておいたバナナが痛みそうになると、あわてて作ったものでした。

■お菓子作りの思い出
私が初めてお菓子を焼いたのは、小学生の時だったと記憶しています。
見よう見まねでクッキーを焼いたのですが、種が柔らかすぎたのか、お煎餅みたいに薄い物が出来てがっかりな結果でした。
母は料理が好きでしたので、3時のおやつにプリンなど手作りしてくれました。
親戚のおばさんが祖母の誕生日などに本格的なデコレーションケーキを焼いて持ってきてくることがありました。
いつもにこにこしておしゃべりが大好きなおばさんでした。
アラザンをあしらったバラの花など当時のケーキはバタークリームで飾られていました。
その素朴で温かい味が今でも忘れられません。
今は生クリームの美味しいお菓子があふれていて、なんでもお店で手に入りますが、子どものころを思い出す手作りのお菓子が大好きで、今でも機会があれば作っています。

■バナナケーキとの出会い
わたしとバナナケーキの出会いは、大学時代でした。
調布にあるカトリックの修道院に併設された学生寮にお世話になっていたことがありました。
当時副寮長をされていたカナダ人のシスターが、寮生のお誕生日や外部お客様をお招きする寮祭の時に焼いて下さったのがバナナケーキでした。
焼いているときに流れてくる、バナナとバターの香りと口の中に広がる程よい甘さ、初めて食べた時から私の大好きなお菓子になりました。

■お菓子で子どもとコミュニケーション
結婚したころにお菓子を焼いていたかどうかはもう覚えていませんが、子どもが幼稚園くらいになったころから、よくお菓子を焼くようになりました。
お菓子作りの本や道具もいろいろ揃えレパートリーも増えました。
あるお菓子の本に載っているレシピで、シスターの思い出のバナナケーキを作るようになりました。
子ども達も大好きで、帰宅したとき玄関でバナナケーキを焼くにおいがすると「やったー!」と言う声が聞こえたものです。
下の娘が小学生のころ学校に行かない日が続きました。わたしにとってとてもつらい時期でした。
そんな時良く二人でお菓子を作りました。
クッキー、シュークリーム、ケーキ、メレンゲ菓子、アイスクリーム、ゼリー、べっこう飴・・・・・
モンブランやザッハトルテ、桃のタルト、カシスのムースなど難しいものに挑戦することもありました。
焼きあがったお菓子でお茶をいただくときは、家族の大切なコミュニケーションの時間になりました。
娘もそんなわたしの姿を見ていたせいか、知らないうちに一人でお菓子を焼くようになっていました。
すっかり大人になった今も、お菓子作りが好きなのでしょう、時間があるとケーキやクッキーを焼いています。
わたし自身も気持ちが落ち込むと、今でももくもくとお菓子を焼きます。

■いつも微笑んでいましょう
わたしが学生のころ、バナナケーキを焼いて下さったシスターは、昨年の3月に97歳の生涯を終えられ天国に召されました。
道に迷って先が見えず苦しい思いをしているとき、シスターの言葉はわたしのこころの支えになりました。
シスターからは、人生で大切なことをたくさん教えていただきました。
一年経った今でも、もうお会いできないことが信じられず、寂しくてたまりません。
輝くような素晴らしい笑顔のシスターでした。

晩年に残された本『しあわせは微笑みが連れてきてくるの』(ジャンヌ・ボッセ著 メディアファクトリー)のなかに、

「いつも微笑んでいましょう。
しあわせは微笑みが連れてきてくれます。
微笑みは誰にでもできるしあわせの贈りものですから。」

と書いておられますが、バナナケーキを作るたびにシスターのとびっきりの笑顔が思い出されます。
どんなに辛いときでも、微笑みをわすれないでいなければと改めて思うのです。

■手作りお菓子でお茶とおしゃべりの時間を
子どもをめぐる悲しい事件が続き、子どもをもつ親は心穏やかではいられません。
気持ちが落ち着かないとき、ちょっと時間を作って、簡単な物でいいのでお菓子を作ってみませんか。
そしてご家族やお友達と笑顔で楽しいお茶の時間を過ごしてください。
家族や友だちとの他愛ないおしゃべりの時間は、なんでもないようですが人に元気を与えます。
お菓子、特に手作りのお菓子はそんな時間をもつきっかけになるのではないでしょうか。


 みなさまのご意見ご感想をお待ちしています。
  
 子育てをしていて、嬉しかったこと、驚いたこと、困ったこと、つらかったことなど、子育てをして感じた様々なことを、みんなでおしゃべりしてみませんか?
 子育てコンビニでは、毎月「子育てコンビニひろば」という集まりを開いています。
  子育てコンビニのスタッフ以外は毎回新しい方の参加があり、いつも同じメンバーの集まりではありません。
 悩み相談に行くほどでもないけれど日ごろ気になっていることなどを、みんなで話してすっきりすることもあるようです。どうぞお気軽にお出かけください。
 皆様のご参加やメールでのお便りなどお待ちしています。


nana


このページトップへ 「力を抜いてゆったりと・・・」目次へ 「そうだん」トップへ   

2015年3月号

みたか子育てねっと・子育てコンビニトップへ