ママとパパのリレーエッセイ-第158回-

公開日 2016/05/01

ママとパパのリレーエッセイ 第158回 -すえさん-

はじめまして、すえと申します。 文を書くことがとても好きなので、こんないい機会をいただきとても嬉しいです。

さて、わが家の子どもたちですが、この春に高校2年生と大学2年生、そして高校を卒業して、就職する子どもがいます。
本当に大きくなりました。 これだけ大きくなっても、やっぱりまだいろいろなことは起こりますが、小さい頃にくらべれば、生死に関わるような心配事はだいぶ減りました。

わが家の3人の子どもたちには、3人3様の先天的な障害があったため、子育てはいつでも波乱万丈でした。
私は短期大学のいわゆる家政科を卒業しているので、 学生時代には育児論や家族論などを学問として学び、
自分の子どもが生まれたらこうしたい!ああしたい!などと話す、ディスカッションなどにも参加していました。
その頃「頭ごなしに叱りつけるのではなく子どもとは話をしっかりして育てよう」という子育て法が流行していて、私もそれがいいななんて思っていました。  

しかし、実際に自分の子どもが生まれてきたら、全くうまくいきません。
そもそもなんだか会話がままならず、慌てて市の相談室に駆け込んだくらいでした。
1人は発語がかなり遅く、親と離れることに不安がないらしく、どこへでも1人で歩いて行ってしまう。
1人は視覚障害があって単独歩行が難しく、オウム返しがひどくて、音に過敏ですぐに癇癪を起こしてしまう。
1人は動き回ることが激しくて、私が話しをしていると途中で消えてしまいます。対話どころではなかったです。

そんな3人だったので、私1人ではとても外に連れて出ることが難しく、子どもたちと4人で家にひきこもる生活が続きました。
そのせいか、真ん中の子が自傷行為をするようになり、私にも限界がやってきました。
このままではこの子を殺してしまうんじゃないか、いや私が飛び降りてしまうんじゃないかと思うようになったのです。

とりあえず、その思いが少しましな時間帯に、電話で相談をすることにしました。
何十軒かけてもまともな返答をしくれるところがなくて、かえって辛くなることも、もっと追い込まれてしまうこともありました。
しかし当時の私の状態は、完全に背水の陣。
とにかく必死で電話をかけ続け、最終的にきちんと相談できる所と繋がりました。
30軒以上かけた末のことでした。
困っている時に否定的なことを言われたり、とんちんかんな話をされたりすると、 1回の相談でもう相談すること自体に疲れてしまったり、
嫌悪感を抱いてしまったりすることがあると思います。 でも相談担当の人にも、いろいろな人がいるということを覚えておいてもらいたいのです。
もし本当に相談したいことがあるならば、1回の相談で諦めず、他の人を探してみたり、違う話し方をしてみて欲しい・・・。

担当者は同じことを言う人ばかりではないのです。

子育ては乗りきってしまえばこっちのもの。数年経てば辛かった頃のことを思い出すことなんて、ほとんどなくなります。
そんな時でも助けてくれた人たちのことを、忘れることはありません。
今、私と子どもが普通に暮らせているのは、いろいろな人たちのおかげ!と感謝しながら、今度は私が誰かのためになる番だと思い、頑張って地域で活動しています。