公開日 2016/06/01
ママとパパのリレーエッセイ 第160回 -山下牧さん-
はじめてリレーエッセイに参加させていただく山下牧と申します。夫と2歳の娘との3人暮らしです。
娘が誕生してからのこの2年ちょっとの間、「あー、なんて楽しいんだろう!」と何度つぶやいたことでしょう。「こどもが生まれたらきっと窮屈だろうなぁ・・・」と思い、年齢的なリミットが迫る30代後半に滑り込みセーフで妊娠、お腹が大きくなる自分の姿に違和感を持ちつつ出産。生まれてみたら、それは大変。聞いていた通り、寝る時間もゆっくりお茶を飲む暇も全然ない。それなのに、気がついたら、以前より私はずっとずっと自由になっているのです。
子供も産んでアラフォー世代になり、ずうずうしいオバさんになったということかもしれないけれど、母親という立場になり、共感できる世界の広いこと!理解し合える人の多いこと!そして子供を通しての出会いが有り難く、嬉しくて、心から楽しいのです。人付き合いが得意な方でもないのに、子育てサロンを立ち上げ、せっせとイベントの企画をしています。特にサロンやイベントでさまざまな人と出会い、おしゃべりをしながら子供たちと遊んだ日には、心が満たされ幸せな充実感でいっぱいになります。
また仕事の場でも、以前と比べてずっと開放されたような気持ちで活動しています。幼児から小中学生までの子供達に絵や工作を教える仕事を始めて15年近くが経ちます。子供が感じたこと、考えたことを自由に表現することを大切にし、子供達と共に過ごす時間はこれまでも私の元気の源となっていました。娘が生まれてからは、よりいっそう教室の子供達が身近な存在として感じられ、ひとりひとりが愛おしく、私自身ももっと自然体で子供達と接することができるようになりました。また、そのお母さん方が子育ての先輩・仲間としてお付き合いくださるので、同じ目線での話題も増え、更に心強く、なくてはならない存在となっています。
こんな風に、子育てが「楽しい」と心から思える時間がやってくるとは、出産前には想像もしていませんでした。自分のやりたいことに熱中して、ひとりの時間をたっぷり味わったおかげで、子供がいるこの生活を前向きに進むことができているのだと感じています。また、子供がいない間には行き詰っていた私の専門分野であるもうひとつの仕事(製本と活版印刷)も以前とは違ったかたちで進み始めており、私が経験してきた多くのことの歯車がかみ合って動き出したような気持ちがしています。これから子供の成長に従ってさまざまな形に変化していくとは思いますが、子供と楽しく過ごすこの時間が私の大切な宝物になりそうです。そして娘に反抗期が訪れた時には、このコラムに書いたことを思い出しながら歯を食いしばれるかも・・・なんて、そんな甘くはないだろうけれど。