公開日 2016/09/01
ママとパパのリレーエッセイ 第163回 -戸田美保さん-
子育てコンビニのサイトをご覧のみなさま、こんにちは。戸田美保と申します。
ご縁がありましたこと、うれしく思います。
私がこの“子育て支援”という世界と出会ったのも遠い過去になります。知れば知るほど多様性という現象に出会いました。それが「私にも役に立てることがあるかもしれない」という思いにつながり、今にいたっています。
平成という年号に入ってちょっとした頃の話しから始めます。
実験的に赤ちゃんサロンという広場事業の“はしり”を行っていたメディカルチームがありました。子育て中のママや妊婦との関わりの中から、ママの孤立感の解消、情報の体験化の必要性を見出し事業を始めたと伺ったことがあります。その頃インターネットの普及はまだしていないのですが(!)、育児本や「○ひよ」などの育児雑誌が発行され始め、情報がどんどん拡散していました。結果、情報だけが蓄積され、個々の子どもやママにとってどのようなことなのか、核家族や隣人を知らないマンション住まいなどによる影響も手伝い、相談する人や窓口もない状態のママたちを危惧します。専門家は、十人十色の環境があるように個々の解決法やアドバイスを探るのですが、雑誌などは情報が一方通行なので、汎用性のあるように工夫して伝えているからです。
即問題解決になるわけではありませんが、ママ同士、赤ちゃん同士が顔を合わせておしゃべりや遊びができる場所、が必要とされたのです。家庭でつぶやくような内容も、実際に音にして話してみると他愛のないことになることも多いのですが、思い込んでしまうとマイナスに働くこともあるのです。他人を見るだけで安心できることもあるのです。だから、おしゃべりや遊びの場というのは上手に活用するものだな、と思います。そこに専門家がおしゃべりの輪に入ることで安心が生まれます。音楽など芸術のエッセンスが入ると豊かさを感じることができます。楽しく子育てしようとする“きっかけの窓口”がいっぱいできるのですね。
現在、広場事業は地域支援の中で常態化して実施され、広場だけでなく、さまざまな社会資源との連携がすすめられています。私もこの4月から市内児童館で子育てサポーターという形で、相談・援助のお手伝いをさせていただいています。こちらの児童館は地域の子どもたちが多く集まります。赤ちゃんのときから遊びに来て、親になって遊びに来て、と世代を超えて来館しています。これは、児童館が0歳から18歳まで遊べる!という決まりがそうさせているわけではなく、長く関わっている館長をはじめスタッフの方々の連携によるものです。声がけする姿や対応を見ていると専門家だなあ、とつくづく感じます。
家の中だと煮詰まるので、と来館されるママもたくさんいます。家はコンパクトに住み、児童館を子ども部屋、公園を庭、カフェはおしゃべりスペースなどと話したりすることがあります(笑)。そのように考えると、それぞれに専門の方がいるので、安心で楽しいですね。“居場所”という言葉を見るとちょっと重いな、と思うのですが、自分で場所を探すと“居場所”を通り越して“私の家の延長”的なライトな感覚になるようです。住みやすくするための方法もまた発見できるかもしれません。
今後とも、子育てコンビニさんをとおして、どうぞよろしくお願いいたします。ちなみに、私もたまに、音楽で遊べるお部屋を提供していることがあります。コンサートをしたり、ワークショップをするときもありますので、その時は、ぜひ、遊びにきてください。お家がまた広がるかもしれません!
2016年9月号