公開日 2016/10/20
効率よくお金を貯める「財形貯蓄」を知っていますか?
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニで暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしにお役に立てる内容をお伝えしていきたいと考えております。最後に実践のポイントを掲載しているので、このコラムを読んだ機会にぜひ実践してみてください。
10月になり、朝晩が肌寒く感じる季節になりました。皆さん体調管理にはくれぐれも注意してくださいね。
さて、先月の家計の見直しのセミナーの中でお金を貯める考え方を紹介しました。「先に必要な金額を貯蓄して残った分を使う」という先取り貯蓄の考え方です。しかし、実際にはなかなかうまく出来ない人も多いと思います。どうすればうまく出来るようになるのでしょうか?今回は先取り貯蓄に使える制度やテクニックを紹介したいと思います。
1.給与から天引きする
お給料が振り込まれた時点ですでに貯蓄が出来ている。これは最強の先取り貯蓄です。
おもに制度としては「社内預金」と「財形貯蓄(正式名は勤労者財産形成促進制度)」があります。「社内預金」の制度がある会社は少なくなっていますので、ここでは「財形貯蓄」について紹介します。
財形貯蓄は給与からの天引き(賃金控除)で行う貯蓄制度で「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3つがあります。
・一般財形貯蓄 使用目的は限定せず、自由に使えるフレキシブルな財形貯蓄。
・財形住宅貯蓄 マイホームの建設・購入・リフォームなど、住まいの資金づくりを目的とした財形貯蓄。
・財形年金貯蓄 60歳以降に年金として受け取るための資金づくりを目的とした財形貯蓄。
税金面で違いがあり、「一般財形貯蓄」は一般的な預金と同じく利子に原則20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税が適用されます。一方で「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」は、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を合わせて元本(預入額+元加利息)550万円まで利子等が非課税です(注1)。住宅資金を貯めるなら「財形住宅貯蓄」を迷わず選択してください。目的外で解約することもできますが、その場合は利子に課税されるので注意が必要です。
ここでは紹介しませんが、住宅購入やリフォーム資金に活用できる融資制度もあります。
さて、財形貯蓄はどんな人が利用できるのでしょうか?まず、所属する企業・団体が財形貯蓄制度を導入していること。次に、職業の種類や雇用の形態にかかわらず、事業主に雇用される方のすべてが対象です。国家公務員・地方公務員・船員の方も含まれます。アルバイト・パートタイマー・派遣社員の方も条件に応じて含まれます。しかし、法人の役員や、自営業者、自由業者は雇用者ではないので利用できません。
※注1 財形年金貯蓄の場合、生命保険と損害保険の保険料、生命共済の共済掛金等については元本385万円
2.積立預金をする
「財形貯蓄」が利用できない場合はどうすれば良いでしょうか?
ほとんどの銀行で取り扱っている「自動積立定期預金」を活用するのがよいと思います。毎月決まった日に総合口座(普通預金口座)から引き落とされ定期預金として積み立てることができます。最近は引き落とし日を指定できるケースが多いので、お給料の振込日またはその翌日に引き落とし日を指定すると「給与天引き」とほぼ同じ状態が実現できます。さらに積立金額を増やす月の指定もできますので、ボーナス月に多く積み立てることもできます。
「財形貯蓄」は引き出しの手続きがやや面倒で、自分の預金口座に振り込まれるまでに時間がかかります。それをデメリットと思う人は、あえて「自動積立定期預金」にする方法もあります。
今回は「財形貯蓄」「自動積立定期預金」の2つを紹介しました。大事なことは「確実に貯蓄を増やしていくこと」です。預金利率は低いですが着実に貯めることに注力していきたいですね。最後に積立プランをいくつかご紹介しますので、参考にしてください。それでは、また。
年100万円コース
毎月5万円、ボーナス(年2回)20万円
5万円×12月+20万円×2回=100万円 達成!
年50万円コース
毎月3万円、ボーナス(年2回)7万円
3万円×12月+7万円×2回=50万円 達成!
年36万円コース
毎月3万円
3万円×12月=36万円 → 3年で108万円 達成!
実践のポイント
(1)貯蓄を財形貯蓄でするか、自動積立でするか考える
(2)財形貯蓄をしたい場合は、勤務先で財形貯蓄制度が利用できるか確認する
(3)積立は早く始めることが大事、すぐに調べて手続きしよう
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FPオフィス マネーライフ・ラボ三鷹 代表 伊達寿和
コンピューターエンジニアとして18年間勤務。2012年にファイナンシャルプランナー(FP)の職業に出会う。世の中が大きく変わる時代、これから充実した人生を生きるためには、各個人がお金に関する知識を持つことが重要と思い資格を取得。お金に関する知識をより多くの人に伝えたい思いで現在の事務所を開業。親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、三鷹市を中心に活動中。
CFP(日本FP協会認定)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。
ホームページ http://mitaka-fp.jp/
2016年10月号