公開日 2017/02/01
「ノロウィルス」について
みなみうら生協診療所の金子 惇(まこと)です。連雀通りの南浦の交差点近くにある「みなみうら生協診療所」というところで働いている医師で、高齢者の外来、訪問診療や小児の診療、予防接種を中心に活動させてもらっています。
自分は2年前に東京に来ましたが、それ以前は人口1300人の沖縄の離島・伊平屋島診療所で島内唯一の医師として3年間働いていました。 0歳の子どもさんから100歳を超える高齢者の方まで来る診療所で、「ハブに咬まれた」などの外傷から「学校に行こうとすると体調が悪くなる」といったこころの問題まで幅広く取り組ませてもらっていました。
三鷹の皆さんにも分かりやすい言葉で健康についてお伝えし、一緒に考えていけたらと思っています。
◆「ノロウィルス」について◆
第8回目はノロウィルスについておはなしします。
今年の冬はノロウィルスが大流行している!とのことで実際にかかったり、テレビやネットで情報を集めたりしている方も多いのではないでしょうか? 我が家の地域でも「幼稚園の餅つき大会は行うが餅は食べない」という事態に。。「先生に食べちゃいけないって言われた~」と言いながら子どもが持って帰ってきたお餅を前に、どうしたものかと頭を悩ませました。
おさらいですが、ノロウィルスの基本事項
・感染すると1-2日で症状出現!嘔吐や下痢、腹痛、発熱などがやってきて2-3日で治ります。
・感染後2週間は便からウィルスを排出していると言われています。
・一度感染すると免疫を獲得しますが、2年くらいで免疫は消失。ノロウィルスにも色々な種類があるので、一度かかっても再度かからなくなる訳ではありません。
ポイントとしては
・早く治るお薬がある訳では無いので、水分が取れていて活気があれば病院受診は必須ではありません。
・子どもさんは脱水に要注意!
※脱水のサイン(水分が取れない、ぐったりしていて反応が乏しい、おしっこの回数が減る、爪のピンクの部分を5秒くらい押して色が元の色に戻るのに2秒以上かかる)がある時は受診しましょう。
・水分は少しずつ!スプーン一杯ずつでいいので小分けにしてあげましょう。
・高齢者や慢性的な病気がある人は脱水や窒息の危険があるので要注意(周りの高齢者になるべくうつさないように!)
・症状がある人は家族の食事の準備をしない!(買ってくるか他の人が作る)
・お風呂は症状がある人が最後、タオルは共有しない!
・吐いたものや下痢が乾燥すると空気中に飛んで行って、それを吸い込むことで他の人が感染!
なので吐いたものなどの片づけが大事です!
[1] 掃除する人はマスクと手袋を必ず着用
[2] 吐物や排泄物をペーパータオルなどで集めてビニール袋にいれる
[3]残っている吐物や排泄物をキッチンハイターなどを薄めたもの(※)で浸すように拭き、その後水で拭う
※作り方:水道水500ml+ペットボトルのふた一杯分のキッチンハイター
(以下のリンクを参照してください)
使ったペーパータオル、手袋、マスクはビニール袋に入れ、上記の消毒液をかけてからしっかり縛って捨てる
[4] 最後に石鹸と水で良く手を洗う
以下は沖縄の病院時代に自分を指導してくれた先生が作ってyoutubeに公開している動画です。参考までに。
・ノロウィルスを不活化できる塩素系消毒液の作り方
https://youtu.be/w97BdqCSKmY
・家庭でできるノロウィルスに汚染された嘔吐物の処理
https://youtu.be/QjYGca_GaU8
島ではよくバーベキューをする機会がありました!この時期食べ物はしっかり過熱しましょう!
みなみうら生協診療所
http://www.kitatama.coop/clinic/minamiura/
「生協」とついていますが、生協の組合員でなくても誰でも利用できます。「健康について困ったことがある時、どこに受診すればいいか分からない時に取りあえず行けばなんとかしてくれる」そんな診療所を目指してスタッフ一同日々努力しています。
(金子 惇先生)
2017年2月号