第10回 夜尿症について

公開日 2017/04/01

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みなみうら生協診療所の金子 惇(まこと)です。連雀通りの南浦の交差点近くにある「みなみうら生協診療所」というところで働いている医師で、高齢者の外来、訪問診療や小児の診療、予防接種を中心に活動させてもらっています。
自分は2年前に東京に来ましたが、それ以前は人口1300人の沖縄の離島・伊平屋島診療所で島内唯一の医師として3年間働いていました。 0歳の子どもさんから100歳を超える高齢者の方まで来る診療所で、「ハブに咬まれた」などの外傷から「学校に行こうとすると体調が悪くなる」といったこころの問題まで幅広く取り組ませてもらっていました。
三鷹の皆さんにも分かりやすい言葉で健康についてお伝えし、一緒に考えていけたらと思っています。


夜尿症について

 

第10回目は夜尿についておはなしします。
「夜尿症」は「おねしょ」と呼ばれて病気ではないとみなされていましたが、治療によって改善すること/子どもさんの心に影響があることから必要に応じて診断と治療が必要とされています。

お子さんのいるおうちでは
・いつまで様子を見ていいのか?
・夜中に起こしてトイレに行った方がいいのか?
など気になるところではないでしょうか。
うちの子どもも比較的大きくなるまで夜尿をすることがありました。自分も様子を見ていていいのか、薬を飲んだりした方がいいのか、あるいは夜尿症外来などに連れて行った方がいいのかと悩む日々でした。

おねしょと夜尿症の違い
4歳以下は「おねしょ」
5~6歳以降で月に数回以上睡眠中の尿失禁がある場合は「夜尿症」
とするのが一般的なようです。
ただし、小学校高学年の20人に1人、中学3年生の100人に1人は失禁があるとの報告もあり非常によくある状態なので悩んでいる子どもさんや親御さんには、「特別なことでない」というのをお伝えするのも大切かと思っています。
個人差もあるので「夜尿症」として検査や治療を勧めるのは7-8歳以降が多いです。(それまでは特に何もしないか、下記の生活指導のみ)

夜尿症の原因
①    夜間のおしっこの量が多い
→ホルモンのバランスなどで年齢相応の尿量よりたくさんおしっこが作られる状態
②    夜間におしっこを十分貯められない
→寝ている時は起きている時より膀胱の容量が増えておしっこが貯められるのが通常だが、寝ている時も膀胱の容量が増えないため漏れてしまう状態

夜尿症の治療
診断は尿や血液の検査が必要な場合もあり、小児科などの受診が必要ですが、おうちで出来ることとしては次のようなものがあります。

規則正しい生活:夕飯は寝る2-3時間前、休みの日も平日と同じリズム
寝る前は水分少な目!:夕飯から就寝まではコップ一杯くらいにして塩分や糖分はなるべく摂らない
寝る前に必ずトイレ!:出来れば2回

これだけで20-30%くらいの人が夜尿がなくなると言います。

また、生活指導の原則は
「起こさない、あせらない、怒らない」
と昔から言われています。
子どもさんのせいでも親御さんのせいでもないですし、本人も気にしているので暖かく見守ってあげて下さい。

上記で症状が改善しない場合は、以下のどちらかを病院で相談します。

・お薬:おしっこを少なくするホルモンを飲み薬で補う

・夜尿アラーム:夜間に排尿したのを感じ取ってアラームが鳴ります!それを毎日繰り返すことでだんだん膀胱の容量が大きくなると言われていて、2~3か月で効果が出てきます。夜に大きい音がして本人、家族が起きるので大変なことは大変です。生活指導の原則に「起こさない」と書いてあるのに「夜尿アラームは起こしてるじゃないか!」ということになるのですが、起こすことが目的でなく、「おしっこが出てアラームが鳴る」というのを繰り返すことで膀胱容量が増える効果があるみたいです。(夜尿アラームはアマゾンで売っているので個人的に買うことも出来ます。)


写真

天気がいいとおねしょしてもすぐ乾きますが、朝忙しかったり雨が降ってたりすると大変ですよね。。
 


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写真金子先生(金子 惇先生)

 

2017年4月号