今月のおすすめ絵本・5月~その3

公開日 2017/05/20

今月のおすすめ絵本・5月~その3

それでいい。できるのはおおきくなってから。

 


絵本 すえっこおおかみ

「すえっこおおかみ」


ラリー・デーン・ブリマー 文  ホセ・アルエゴ&アリアンヌ・デューイ 絵  まさきるりこ 訳


あすなろ書房 

★5歳~


おおかみ家族のすえっこのぼうや。まだおにいちゃんたちみたいにいろんなことが上手にできません。
まっすぐ転がれない事、走るのが遅い事、高く飛び上がれない事・・・
おにいちゃんたちは、できない奴はだめだって。しょんぼりしているすえっこちゃん。

話を聞いた父さんおおかみは言いました。
「じゃあともかくいっかいやってごらん」
「ぼく、てんまでなんて、とてもとびあがれないよ。ならの木にだってとどかないもの」
「うん、てんまでは、とどかんなあ」
「だが、とどかなくっていいんだ。ひなげしの花までとびあがれただろう?それでいい」
「えっ、ほんとう?」
「ほんとうだとも。たかくとびあがるのは、おおきくなってからだ」

それを聞いて大満足のすえっこぼうやは、元気よくころころ転がり、ふらふら走り、ぴょんぴょん飛んだのです。
父さんオオカミは、楢の木陰で子どもたちと昼寝をしながら、上にある大きな木とどんぐりの実をみて、すえっこぼうやに言いました。

「このどんぐりは こんなにちいさいけれど、それで いいんだ。このどんぐりが、どんなになるか しってるかい?
ほら、こんなにおおきな木になるんだよ。」

どんぐりの木を見上げたすえっこぼうやの目がとても可愛くて純粋です。
父さんおおかみは、なんて強く優しくどっしりとしてて素敵なんでしょう。

つい、自分の子どもには、なんでできないのかな!?、もっとがんばって!、がんばればできるのよ!とイライラして言いがちです(自己反省中)

もしかしたら、そんな言葉や態度で子ども自身の伸びる芽を摘んでしまっているかもしれませんね。
そんなことをすごく感じるので、この本は親向きかも~
 

2017年5月号