第12回 中耳炎について

公開日 2017/06/01

ロゴ子どもすくすく元気コラム中耳炎について

 

みなみうら生協診療所の金子 惇(まこと)です。連雀通りの南浦の交差点近くにある「みなみうら生協診療所」というところで働いている医師で、高齢者の外来、訪問診療や小児の診療、予防接種を中心に活動させてもらっています。
自分は2年前に東京に来ましたが、それ以前は人口1300人の沖縄の離島・伊平屋島診療所で島内唯一の医師として3年間働いていました。 0歳の子どもさんから100歳を超える高齢者の方まで来る診療所で、「ハブに咬まれた」などの外傷から「学校に行こうとすると体調が悪くなる」といったこころの問題まで幅広く取り組ませてもらっていました。
三鷹の皆さんにも分かりやすい言葉で健康についてお伝えし、一緒に考えていけたらと思っています。


中耳炎について

 

第12回目は中耳炎についてです。
大人はあまりかからないが子どもがよくかかる病気の代表「中耳炎」。プールなどにも関係しており馴染みの深い病気ではないでしょうか?
今回は中耳炎について取り上げます。

●中耳炎って何?
中耳炎には
(1)細菌性中耳炎(急に耳が痛くなり、熱が出る状態。耳だれは無い場合もあります)
(2)滲出性中耳炎(鼓膜の内側に水がたまり聞こえが悪くなっているが、耳の痛みや熱は無い状態)

(1)と(2)の二種類があります。
(2)がいわゆる「中耳炎」なので今回は(1)についてご紹介します。
●なぜ中耳炎になる?
本人の体質以外の環境要因としては
・兄弟がいること
・保育園/幼稚園など集団保育に参加していること
(この2つは「風邪をひきやすくなる!」という意味)
・おしゃぶりを使用していること
・受動喫煙!
家族に喫煙する人がいる場合は、本人の前で吸わなくても中耳炎になりやすくなります。もしおうちにタバコを吸っている方がいればぜひ禁煙を勧めましょう!
あと、母乳栄養は中耳炎にかかりにくくなるそうです。

●耳が痛くなければ中耳炎じゃない?
小さい子(特に2歳以下)だと「耳が痛い!」と自分で言えないこともあり、「不機嫌」という形で出ることも多いです。2歳以下の子の中耳炎は悪化しやすいので、発熱に加えて「あやしても笑わない、ずっと機嫌が悪い」などの症状が続く時は、医療機関に行って耳を診て貰うことをお勧めします。

●中耳炎になったら必ず抗生剤が必要?
軽い中耳炎(3歳以上、発熱が無い、鼓膜があまり腫れていないなど)の場合は抗生剤を使わなくても数日で収まることが多いです。また、本来必要でないタイミングで抗生剤を飲むと、抗生剤が効きにくい菌が増え肝心な時に抗生剤が効かなくなることにも繋がります。医療機関では症状を聞いたり鼓膜を見たりした際に重症度に応じて、抗生剤が必要かどうかを判断しています。抗生剤が出る理由/出ない理由について担当の医師から説明があるかと思いますし、疑問に思うことがあればどんどん医師に質問して下さい。

●水泳に関して
中耳炎になっている場合に水泳を休まなければいけないかどうか明確な基準は現在の所ありません。
小児科や耳鼻科の医院では、
・耳垂れが出ている時
・膿を出すために鼓膜を切った直後
などは水泳を避ける様に指導することが多いようです。
また
・水に入って明らかに耳を痛がる場合
・川や湖など菌が入りやすい水に入る場合
は避ける必要があると思います。
ただし、水泳を避ける様に指導した子どもとそうでない子どもで症状に変わりなかったという報告もあり、(2)の滲出性中耳炎のガイドラインにも「鼓膜にチューブを入れた場合でも必ずしも水泳時の耳栓着用が必要なわけではない」という内容の事が書かれています。自己判断で子どもの活動を制限せず、ぜひ受診時に合わせて相談してみて下さい。
 


写真

自分がいた島でも中耳炎になる子は多かったですが、みんなよく泳いでいました。
塩分で体が浮く海で泳ぐのが普通で、プールで泳ぐ機会の方が少ないので、「島の子はプールで泳ぐのが苦手」という話もありました。本当かどうかは何とも言えないですが、海が好きな子が多かったです!
 


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写真金子先生(金子 惇先生)

 

2017年6月号