第13回 やけどについて

公開日 2017/07/01

ロゴ子どもすくすく元気コラムやけどについて

 

みなみうら生協診療所の金子 惇(まこと)です。連雀通りの南浦の交差点近くにある「みなみうら生協診療所」というところで働いている医師で、高齢者の外来、訪問診療や小児の診療、予防接種を中心に活動させてもらっています。
自分は3年前に東京に来ましたが、それ以前は人口1300人の沖縄の離島・伊平屋島診療所で島内唯一の医師として3年間働いていました。 0歳の子どもさんから100歳を超える高齢者の方まで来る診療所で、「ハブに咬まれた」などの外傷から「学校に行こうとすると体調が悪くなる」といったこころの問題まで幅広く取り組ませてもらっていました。
三鷹の皆さんにも分かりやすい言葉で健康についてお伝えし、一緒に考えていけたらと思っています。


やけどについて

第13回目は「やけど」についてです。

おうちで熱いものをひっくり返したり、お店でつい熱いものを触ったり子どもはよくやけどします。僕も小学校の時お好み焼きを作っいてやけどしましたし、うちの子もたまにやけどをしてしまいます。
今回はやけどの対応についてです。

※やけどの治療は色々な方法があり、医師によってやり方や患者さんへの説明が違うことがあります。以下は自分の学習や経験に基づく方法の中からおうちで出来そうなことを紹介しています。実際に受診した場合は、その時の状況によって以下と違う説明があることもありますので、その医療機関でよく相談してください。

●やけどした直後の処置は?
皆さんされているかと思いますが、まずは、
・水道水で冷やす
というのが第一です。
昔は20分も30分も冷やすことが推奨されていた時もありましたが、最近は5分ほどでいいと言われています。
氷だとくっついてしまったりするので、流水が良いです。
服の上からやけどにかかってしまった場合は、服を脱がせると時間がかかったり皮膚が剥がれたりするので、脱がせないで服の上から水をかけましょう。
(赤ちゃんで服の上から水をかける時は、範囲が広かったり時間が長かったりすると体温が下がりすぎるので、冷やしすぎないように注意しましょう。)
・ワセリン+ラップ
赤くなっている所にワセリンを塗ってラップを貼り付けます。とりあえずこれでやけどの痛みが取れますし、軽いもの(水ぶくれがなく赤くなっているだけ)ならこれで治ることも多いです。ワセリンが無ければラップだけでも痛みが軽くなりますので、すぐ病院に行けない時や病院に行くほどでない時など試してみて下さい。

●水ぶくれはそのままがいい?取ったほうがいい?
最近は傷を覆ってきれいに治す「被覆材」(キズパワーパッドなど:病院に行くともっとたくさんの種類や大きさがあります)があるので、診療所に来た時は水ぶくれをハサミで切って被覆材を貼ることが多いです。(水泡をそのままにしているとまれに細菌が入ることがあるので)
おうちで無理に水ぶくれを取る必要はありませんが、取れかけているものは切ってしまって問題ありません。

●やけどをきれいに治すには?
被覆材を使うというのが一つのポイントですが、軽い場合は上記のラップ+ワセリンでも大丈夫です。重要なのは、痛みなどが引いて治ってきた後に日光にあてないことです。手であれば長袖を着たり、顔であれば帽子をかぶったりしてしばらくはその部分が日光に直接当たらないようにしましょう。

●どれくらいのやけどなら病院・診療所に行った方がいい?
目安は、
・やけどの場所→顔など目立つ場所
・やけどの範囲→おうちで冷やしたり、ラップやキズパワーパッドで覆ったりするのが難しいくらい広い範囲
・やけどの深さ→一般的には
(1) 赤くなるだけ  
(2) 水ぶくれができる 
(3) 白くなる 
(4) 黒くなる
の順で深いやけどです。
・(3)や(4)の場合は医療機関に行った方が良いと思います。

やけどの治療は何度も通うことになるので、おうちの近くでやけどの治療に慣れている医師を探しておくと良いでしょう。
 


写真

~島の診療所~

もうすぐ夏ですね。キャンプや飯盒炊爨などでやけどの機会も多くなるこの季節。すぐに病院に行けない環境でも、上記の様な知識がお役に立てばと思います。
 


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写真金子先生(金子 惇先生)

 

2017年7月号