公開日 2018/03/01
ママとパパのリレーエッセイ 第181回 -沼畑美緒さん-
三鷹市星と森と絵本の家で「絵本」関係を担当している沼畑美緒と申します。
このたび、縁あってバトンを手渡されましたので、がんばって走ります。
絵本の家では毎年ひとつ大きなテーマを決めて企画展を行っています。
「月」「星」といった天体に関することや、大きく「宇宙」や、そこから少し足を踏み入れて「重力」や「数」に関するテーマにも取り組んでいます。
毎年この企画展のテーマを決めるのはもちろん大変なのですが、テーマを決めてから一層楽しく、そして悩ましい仕事があります。
それは参加型の展示物=「うごかして楽しむもの」づくりです。
「うごかして楽しむもの」とは、その名の通り触って動かせる展示物のことですが、楽しんでいるうちに、そのテーマをより感じてもらえることを目指しています。
「うごかして楽しむもの」づくりには、いくつかの厳しい条件が課せられています。まず科学的な見聞や知識、情報に基づいているものでありながら、赤ちゃんから大人まで楽しめること。かつ子どもたちによる予期せぬ扱いにも耐えうるものでありながら、展示物としてのデザイン性も必要です。あと、わりとアナログで動くというのも絵本の家にとっては大切な要素です。
絵本の家スタッフはこの「うごかして楽しむもの」を自分たちで考え、作れそうな場合は作ります。その際に最も考えるのは子どもたちの動きとなります。たとえば「めくる」という動作をしてほしいとき、どちらの方向にめくるのが内容からいって理にかなっているのかを考えます。そして「ひっぱる」でも「おす」でもなく「めくる」をしてもらうには、持ち手が必要なのか、めくりたくなるように中身が少し見えるといいのか、など年少さんや小学生といったいろいろな年齢の子どもになったつもりで考えます。
さて、いざ設置して見ると子どもたちの反応は、私たちのはるか予想の斜め上をいきます。
例えば、めくることよりも留め具が気になってはずしてみたくなったり、「めくる」という動作を覚え、他の箇所で何かを無理にめくろうとしてみたり‥
こうした想定外の使い方をされるたびに改善や補正を加えるので、「うごかして楽しむもの」は展示期間中に、より「完成形」に近づいていきます。
この「うごかして楽しむもの」を通じて子どもたちとやりとりをしている感覚は、私にとって非常に楽しいものです。そして毎年どんなテーマになろうと、企画展のもうひとつのテーマは「子どもである」ということだと思っています。
さて、2017年度の現展示『もののもと ぼく・わたしのできるまで』ではどのような「うごかして楽しむもの」があるのでしょうか?気になった方、ぜひ三鷹市星と森と絵本の家にご来館ください!!
https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/025/025652.html
2018年3月号