公開日 2018/04/01
ママとパパのリレーエッセイ 第181回 -東多世代交流センター(ひがしじどうかん)の髙橋さん
こんにちは。東多世代交流センター(ひがしじどうかん)の髙橋です。
今回、こちらの「ママとパパのリレーエッセイ」に寄稿させていただくことになりました。
せっかくの機会ですので、東多世代交流センターでのエピソードや事業を、簡単ではありますが、ご紹介しながらあれこれつぶやいてみたいと思います。
東多世代交流センター(ひがしじどうかん)には、ほぼ毎日開催している「ひろば」にたくさんの親子さんが来てくれます。
スタッフがいる事務所からは、ちょうど玄関ロビーが見え、センター来館、帰館時の親子さんの様子がうかがえます。
多くは、1歳前後から2歳過ぎくらいのお子さんです。
「おはよう」「いらっしゃい」「よく来たね」
スタッフのことばに、ママパパの表情もほっとほころび、その傍らで、お子さんが靴を脱ぎはじめます。
見ていると、この年齢のお子さんにとって靴の脱ぎ履きは、少しがんばる課題、と感じます。
座った姿勢で腕を伸ばしベルトを指先ではずしたら、かかとを抜く・・・といった工程でしょうか、姿勢を保ちながら、必死に手足を動かしてがんばります。
これからあそぶという期待感にあふれ、一生懸命に「自分で」靴を脱ぐことに取り組んでいるようです。
感心するのは、そんなお子さんをほとんどのママパパが上手に見守っていることです。
手を出し過ぎず、いいところでちょっとの手助けや応援をし、ようやくお子さんは「自分でできた!」と靴を脱ぐことができます。「できたね、すごいね」とママパパに褒めてもらい、どうだ!と言わんばかりの表情で、靴を靴箱に揃えて入れ、さあ、あそぼう!です。
今、東多世代交流センターでは、「親子の時間が楽しくなる子育て」というテーマで連続講座を開催しています。
東京学芸大学の菅野敦先生を講師としてお迎えしていますが、先生のお話は、このエピソードのような日常の生活のなかに、大切な子育てのポイントがあるというものです。
例えば・・・
・靴を脱いだり履いたりするにはバランスを崩さず座り、手指を操作しなければなりません(運動能力)
・靴の左右を知ることも必要です(認知能力)
・やり方をママパパに教わり手伝ってもらいながら、できるようになります(コミュニケーション能力)
・ひとりでできたら(達成感)、ほめてもらいます(自己肯定感)
・何よりママパパの見守りと手助けがあるから、がんばれます(愛着関係)
靴の脱ぎ履きだけではなく、着替え、食事、片付け等々、基本的な生活の習慣を、教えたり、手伝ったりしながら一人でできるように、毎日、かかわっていますね。
身辺自立に向け、すべてのママパパが毎日繰り返し行うこの当たり前の子育てにこそ、実は大切な力を育むたくさんの要素があるということなのです。
子どもの「大切な力」が育つとき、「親子の関係」も育まれると先生はおっしゃいます。
子どもが成長するにつれ、直接的な子育てのかかわりは減っていきます。
しかしながら、親子の関係はずっと続いていくものです。
親子関係が良好で揺るぎないものであることで、子どもが子どもらしく、そして将来、社会の一員として生きていくうえで、大きな強みになり得ます。
まだまだ手のかかる幼い時期は、生活の面でたくさんのかかわりがあります。
だからこそ、子どもの大切な育ちや親子の関係を築く絶好の時機でもあるわけです。
エピソードのような微笑ましい場面ばかりではないのが、子育ての現実。
でも、あらためてお子さんの姿を見つめ、子育てを振り返ってみてください。
一生懸命、力を獲得しようとする我が子、その子どもの変化を見守ったり手助けする「ママパパである自分」に、あらためて気づいてみませんか?
何気なく過ぎていく毎日ですが、特別ではない当たり前の子育てを、丁寧に積み重ねることがお子さんの未来につながっています。一緒に過ごす時間が、親も子もさらに楽しくなる、そんな子育てを目指したいですね。
2018年4月号