公開日 2018/05/01
ママとパパのリレーエッセイ 第182回 -朱雅琴さん
-コミュニケーションの形・言葉の壁-
来日9年目、3歳と9ヶ月の女の子を持つ台湾人ママです。
日本で暮らすため、少しでも日本語を上達しようと思っていましたが、最近母国との繋がりが少しずつ薄れていくように思います。
周りには、私達と同じく国際結婚の家庭がありますが、家では日本語を話さないようにしているそうです。その子供達が親に合わせて言葉を使い分けて喋る姿を見るたび、少し羨ましく思う自分がいました。
今私は子供に母国語を徹底的に教えるかどうか迷っています。興味を示してくれれば、教えようと思っていましたが、台湾の祖父母とあまり意思疎通が取れていない様子を見て、私の気持ちに疑問が生じました。
昨年、知り合いの紹介で、絵本の読み聞かせのイベントに参加することになりました。私は台湾絵本画家のジミー・リャオの「なりたいものだらけ」という絵本を朗読しました。
日本で大勢の人の前で母国語を披露することは緊張しながらも、とても新鮮でした。その中で、一番印象に残ったのは、長女の反応でした。とても真剣に聞いてくれて、日本人の主人に内容を説明してくれました。終わった頃、娘に「ママ、凄いね」と言われました。私は嬉しくて思わず笑みを浮かびました。子供のおかげで、母国との繋がりがずっと続いているような気がしたことを知りました。言葉の軌道修正をしなくても子供はちゃんと自分のペースで成長していきます。徹底的に言葉を教えるより、人とコミュニケーションしたいという気持ちを育てることが大事ではないかと教えられました。
2018年5月号