公開日 2018/09/01
ママとパパのリレーエッセイ 第187回 -新庄まきさん
期待しない子育
初めまして、新庄まきと申します。シェアキッチンを借りて、The Shinjo の屋号で「米ぬかケーキ」の販売をしています。今回、そのケーキがきっかけで「ママとパパのリレーエッセイ」を書かせていただくことになりました。「ん?なんのこっちゃ」っていう感じですね、しばしお付き合いいただければ幸いです。
私の第一子は重度知的障害を伴う(典型的な)自閉症です。主人と私、両家の初孫、待望の男の子でした。生まれて間もない息子を抱っこしては、「何にでもなれるよ、あなたには可能性がいっぱい。」とよく語りました。
1歳前には息子に違和感を感じ、1歳半検診後の生活は一変しました。
そんな息子も今は11歳。下に、5歳半違いの弟がいます。
この絵は、弟が生まれて1年余り経った時に描いたもので、私の子育てに対して何かが吹っ切れた時、描き留めたものです。
「あぁそうか、子育ての醍醐味は子供に期待することだったんだ」弟の存在がそう教えてくれました。それと同時に「期待できない子育て」が私を寂しく、悲しく、悔しくしていきました。
その当時の子育ては、できないことをひとつでもできるようにすることが、日々の目標であり、毎日のすべてのことをできるかできないかで判断するようになっていました。これもできない、あれもできない、どうしてできないんだ、どうすればできるようになるんだろう…。
ある時、「期待できない」んじゃない「期待しない子育て」なんだと、気持ちを切り替えました。それはとても前向きな気持ちで、私と息子は完全に別の存在だ、と心から感じられるきっかけになりました。もちろん親子で家族です。切っても切れない縁がそこにはあります。でも、一体何を期待し、一体何のために、泣かせながら、ご褒美をちらつかせながら、折り紙をただ半分に無理やり折らせていたのが分からなくなりました。2ピースのパズルをやらせているのか分からなくなりました。仕方がないこともある、できないこともある、それでも同じ空間を一緒に過ごせるための最善の私なりの結論でした。
だってほら、となりで弟が、あっという間にやってのけるのですから…。
おかげで今は、支援学校や福祉サービスなどに助けられながら、息子は息子、私は私で日中を過ごしています。とはいえ、毎夕方、息子は1日の疲れを私の顔を見るなり吐き出すのでうんざりすることもありますが、そんな時は大きく深呼吸(ため息)をしては、「期待しない子育て」を実践するようにしています。
そんな、ひっちゃかめっちゃかだけど、毎日やかましいけれど、これからも少しでも子供と穏やかに一緒に過ごせたらいいなと思っています。なんだか、よく分からない文章に最後までお付き合いいただきありがとうございました。今日もよい1日を。
2018年9月号