カ笑ル食堂を立ち上げたチカラ~第1回「これまでのこと」

公開日 2018/11/01

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第1回「これまでのこと」

はじめまして。
私は吉祥寺のジブリ美術館の近くで、「カ笑ル食堂」のオーナーシェフをしている高橋明美です。
「カ笑ル食堂」は、酵素玄米と一汁三菜で身体にも心にも優しい和食のお店です。
私が、この「カ笑ル食堂」を立ち上げるに至るまでのプロセスを全6回にわたってお話しさせて頂きます。
お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願い致します。

私は、2人女の子を持つ母親で専業主婦でした。
今の「カ笑ル食堂」の立ち上げに至るまでのプロセスは、
今となって思えばすべてが人と人との繋がりでした。

忘れもしない、今から24年前の4月、下の娘が幼稚園に入園して、幼稚園バスの停留所まで送り届けた初日の事でした。
子供がバスに乗ってにこにこして手を振った瞬間、あ~娘は新しい一歩を踏み出したんだなあと感じました。
何だか、家族の中で私だけが社会に参加していない様な気持ちになってしまいました。

これから、一人の時間をどう過ごしたら充実出来るんだろう?
自分が出来る事って何だろう?
人に喜んでもらえる事はないだろうか?                                       

そんなある日、幼稚園バスのバス停で、ママ友からボランティアのお話を聞きました。
それは独居老人等のお宅へ車で行って、安否確認を含めてのお食事の配達でした。
週2回程度、1日2時間位の活動で、子供たちが幼稚園や小学校に行っている間に出来るものでした。
これなら私にも出来るかも?と思い、行動力には自信のある私は、即その足で、調布にある公益福祉法人へお話を聞きに行きました。
明日からすぐにでもお願いしたいという言葉どおり次の日から研修に入らせていただきました。
私のボランティア人生のスタートです。

私もいよいよ社会に出るんだ。
しかし、結婚前の仕事をしていた頃からすでに6年が経っていました。
多少の不安はありましたが、それ以上に社会参加すること、そして初めての福祉の世界。
誰かに喜んでもらえると考えただけで、不安もどこへやら。
期待に胸が膨らんだのを覚えています。
この時から調布にある公益福祉法人への関わりは6年間。

わたしは、ここでのボランティアの中で、今まで知らなかった現状をいっぱい知らされました。
その中で、驚いた事は、お食事配達を利用している独居老人の方で、1日の中でお話をするのは私とだけ、それもお食事をお渡しする短い間だけということ。
又、「次回来て来てくれるまで誰ともお話をしないのよ。もっとお話したいわ。」という利用者が沢山いる事にビックリしました。
しかし、私は2時間の間で12件のお宅に届けるので1人のお宅でゆっくりお話を聞いている時間は無かったのです。
「又ね!」と笑顔で後ろ髪を引かれる思いで、次の利用者宅へ向かうのが現状でした。
毎回この様なやりとりをする中で、寂しいと感じている人達にもっと寄り添う事は出来ないのかという思いがどんどん膨らんでいったのです。

何をしたら良いのか?
その為にはまずはしっかり傾聴の勉強をしなければ。
相手が心地よくお話出来るように、そしてお話をしっかり聴けるように。
そんな勉強が出来る所を模索し始めました。

そんな時にふっと目にしたのが、新聞と一緒に入っていた「東京都便り」でした。
目にしたのは「東京多摩いのちの電話」の相談員になる為の研修の募集要項でした。
以前、テレビの特集で、いのちの電話の相談員にスポットをあてた番組を見たことがあり、こんなすごい人達がいるんだなと思ったのを思い出しました。
もしかしたら私もスタートラインに立てるチャンスかも?
研修の期間は1年半座学で、その後相談員になる為の研修に入ります。
ここで学べたらと思い、早速応募しようと、相談員になる為の自分の考えをレポートにして提出しました。
後日、採用通知が届き、いのちの電話の相談員になる為の研修がスタートしたのです。

これが、今のカ笑ル食堂に繋がる第一歩でした。 

カ笑ル食堂のHPは、コチラです。
http://kaerushokudo.web.fc2.com/


2018年11月号