カ笑ル食堂を立ち上げたチカラ~第2回「私の傾聴の勉強のこと」

公開日 2018/12/01

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第2回「私の傾聴の勉強のこと」

こんにちは。私は吉祥寺のジブリ美術館の近くで「カ笑ル食堂」のオーナーシェフをしている高橋明美です。

第1章に続き、今回は私の傾聴の勉強のお話をさせて頂きます。
いのちの電話の研修を受講出来るようになり、いよいよ講座がスタートしました。
当時の勉強の場は武蔵境にある亜細亜大学でした。
土曜日の午後に継続して半年通いました。
幼年期から老年期の心理学の講座を受けるのです。
講義は毎回色々な先生が担当してくれて、とても興味深いものでした。
 
学生時代の座学はよく眠くなってしまいましたが、一語一句聞き逃さないようにと毎回一番前の席に座ってノートをとる自分が何だか不思議でした。
何となくわかっているような事が、流れと共にまさに確信に繋がっていく時間でした。

興味のある事、又目的に向かって、その為に勉強が出来るということはこんなにも頑張れるんだ。と思った時間でした。
講義は老年期の心理学が終了して、いよいよ相談員になる為の研修が始まりました。
「傾聴」です。
耳を傾ける。心をそこにおく。傾聴の訓練が始まりました。
電話の向こうの相談相手の背景を理解して、相手の言葉じりだけではなく、その言葉を出す背景を考えながら寄り添うという
研修です。
対人関係の勉強から始まり、沢山の電話相談の事例もグループで話し合いました。
話し合う内に、自分の考えの特徴などもわかってきました。
そんな研修が半年間続き、その後いのちの電話の相談員に認定されました。
 
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いよいよ電話相談が始まりました。
13年間電話相談員として関わることが出来て、沢山の電話を受けました。
私達は、友達や家族などに、その日の出来事や時には愚痴、怒りなどぶつけたり、嬉しかった事を話して心地のよい気持ちを
共有したり、話す事が出来、心が軽くなったり、嬉しかったり安心感をもらったり出来ます。
でも、そんな相手がいなかったら?と考えさせられる電話が沢山ありました。

電話を受けていると第1章でお話した、食事サービスで出会った「今日はあなたとだけお話して1日が終わりなの。
次回来てくれるまで、又誰とも話すことなく一人なの」と話していた方の顔が目に浮かんできます。
電話相談をやってきて思った事は、電話をしてくる人は解決は望んでいない。
私達が方向をつけるのではなく、話をしっかり聴いて向き合う事が大切。
その中で相手が話している内に自分の考えをまとめる事が出来たり、笑顔になっていったりすると、あ~良かったと思えるのでした。

いのちの電話は現場で受話器を持ってお話を聴くボランティアですが、その中で、定期的に研修があります。
外部からの講師も沢山来て下さり、色々な形で勉強出来るのです。
ある時の研修で、調布市で精神の病気を持った人達の居場所を35年継続してやっている代表の方が、講師に来て下さりました。
これもご縁となり、いのちの電話を続けながら、その居場所でスタッフとして8年間お仕事をさせて頂きました。

食事サービスのボランティアをやって考えさせられた事。
いのちの電話で学んだ事。
精神の病気を持った人達の居場所で学んだ安心感のプレゼント。
これらの経験で身についた事は、私の財産となりました。
これは、これからの人間関係、又、「カ笑ル食堂」で出会う人達においてもきっと役立っていくのでしょう。
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カ笑ル食堂のHPは、コチラです。
http://kaerushokudo.web.fc2.com/


2018年12月号