公開日 2019/03/01
ママとパパのリレーエッセイ 第193回 -Tさん
結婚を機に三鷹に引っ越してきました。主人が武蔵野市に住んでいたころに倒れて、野村病院に救急車で搬送されたのが結婚の大きなきっかけでした。
あたりを見回してみると、私が生まれた山口県宇部市と共通点がたくさんあるなあと感じました。大きな公園があり医大があり、近くから飛行機が飛び立つのが見える。良いところで子育てができそうだとうれしくなりました。
生まれてきた子どもは見事に私たちを親ばかにしました。可愛くて仕方なくてあちこちに連れ歩きました。おかげで、色々なところで子どもの名前を呼んでもらい、気にかけていただき、初めての子育てを応援していただいています。そこで会うママたちとも仲良くおしゃべりできて、三鷹に住んでよかったと感謝の日々です。
それでもやっぱり子育てに悩みは付き物。難関はパパの出張です。日頃から夜遅くに帰るのだから関係ないと最初でこそ強気でいたものの、子育ての共同責任者であり遠慮せず話せるパートナーと一切分かち合う時間がないことやほんの一瞬も気を抜ききれる時間がないのは堪えました。1週間の出張の最終日で疲れなどが重なりいつの間にか道端で涙が出てしまったとき、たまたま通りすがりの小学生のママに「大丈夫?」と優しい声をかけていただいたこともあります。一時保育をうまく使えば大丈夫と分かりまた強気になれたのですが、これにもまた熱や病気の落とし穴。子どもはよく熱を出すと言われるのが身に染みて感じられました。
本当に本当に困ったのは5日間の出張の最初の日に子どもが胃腸炎になってその胃腸炎が私にうつったときです。子どもはご機嫌で吐くし、私は一人で少し歩くだけでひどい吐き気。無理して一度にたくさん(10歩くらい)歩くと本当にもどす。とてもじゃないが子どもを抱えて階段を降りて病院まで歩けない。このままあと4日、母子2人どうなってしまうのかと不安になり、この程度でと申し訳なく感じつつも救急車を呼びました。来る前に子どもがもどし、私も来た後にもどし、子どもの服を着替えさせて病院へ連れて行ってもらいました。パパの抱っこでさえすぐあきて私に猛アピールをするのに、男の人の抱っこに慣れてないのに、救急隊員の人にご機嫌で抱っこされてる子どもに一安心。奇しくも(?)運ばれたのはあの野村病院。吐き気止めを点滴してもらいました。
この点滴が大変でした。あんなに救急隊員にはニコニコ笑顔で抱っこされていたのに、看護師さんには一切抱っこさせない。大人一人が横たわるスペースしかないベッドで子どもが落ちないように気を付けて、興味津々の点滴の針や管をいじられないようにして、泣かないようにあやす1時間半。最後には吐き気はどこへやら、なんとなくの気持ち悪さと腰痛が残りました。元気なら徒歩5分程度の道のりですがタクシーで子どもと二人で家に帰りました。階段を上り終えたとき、信じられないほどほっとしました。
帰宅後しばらくしてすっかり良くなりました。予定通りの日に主人も帰ってきて子どもがバタバタ嫌がる中オムツ替えをしてもらいながら、点滴の間も大変だったこと、救急隊員はよくて看護師さんがなんでダメだったのか不思議だったことを話すと、
「救急隊員がイケメンだったからじゃない?」
まさか、0歳なのに!?
次の日、なんと主人にも胃腸炎がうつりました。私ほどではなかったので、自分で歩いて野村病院に行きました。オムツ替えさせてしまったからでしょうか。取り合えず、3人同時に倒れずに済んでよかったです。インフルエンザでなくてよかったです。
嬉しかったことも大変だったこともいつか愉快な思い出になるはず…と思いつつ、もう二度とこんなことも、これ以上に大変なことも起きてほしくない!と帰ってきたときやオムツ替えの際の手洗いを徹底しようと肝に銘じた冬でした。
2019年3月号