ママとパパのリレーエッセイ-第194回-こどもぼうさい 山崎光さん

公開日 2019/04/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第194回 -こどもぼうさい 山崎光さん

 

はじめまして、防災団体やろうよ!こどもぼうさいの山崎光と申します。

娘が1歳になったころに引っ越してきて、三鷹在住14年目に入っています。建築関係の仕事をする傍ら、3年前に防災団体やろうよ!こどもぼうさいを立ち上げて、主に三鷹市内で防災を伝える活動をしています。市内の学童保育所などでの防災教室や、親子で楽しく防災について考える機会となるようなイベント、パパ・ママ向けの防災講座などを企画・開催しています。

ここまで読んでいただいて、防災の話かぁ…って思われ他かもしれません。防災って、やらないといけないということは分かっているけどなかなかできませんよね。何から始めたらいいのかわからない、面倒くさい、堅苦しい、そんなイメージを持ちがちです。

実は私も、数年前まで「防災アレルギー」でした。やらなきゃ…と思いつつ防災を何年も後回しにしてきた自分を責めるのがもう嫌だったので、防災について見聞きすることも考えることもあえて避けて生きていました。でも今は三鷹で防災を伝える側に立ち、また防災の映画を作って全国で防災の講演をさせていただいています。まさに180度変わりました。

そのきっかけになったのは、娘の存在です。娘は不安をとても強く感じる子で、「学校に行っている間にパパとママがいなくなっちゃうかもしれない」という不安が拭えず、一人で学校に行くことができませんでした。そのため妻が一緒に登校し、下校まで学校にとどまっていることでようやく6年間小学校に通うことができました。もともとそのような性質を持っていることに加えて、1年生の時に東日本大震災の揺れを経験した娘は、すごく不安そうな顔で頻繁に「パパ、三鷹は地震大丈夫かな?津波大丈夫かな?」と聞いてきました。私はこれ以上この子の不安を大きくするのはかわいそうだと考え、そのたびに「大丈夫、東京に地震なんて来ないし、海も遠いから津波も来ないよ」と答えていました。娘はそれを聞いて一時的に安心した表情を浮かべます。最初の頃はこれが最善だと納得していましたが、次第に「でも、実際に三鷹で災害が発生してこの子を失ったら、自分はどれほど後悔するだろう…」と考えるようになりました。親ならだれもが、車が危ないから道路に飛び出さないようにと教えるのと同じように、娘の不安を大きくしてしまうとしても、大きな地震が起きた時に自分の命を守る方法を教えることこそが“親の務め”と考えるようになりました。大切な家族を守りたいという強い思いが「防災アレルギー」だった私の意識を180度変えてくれました。

実際にやってみると、防災はぜんぜん難しくありませんでした。親子で楽しく行うこともできますし、漠然とした災害への不安が少なくなっていることも実感しています。

第一歩を踏み出す、おすすめの方法をご紹介します。まず、災害に対してそれぞれがどんな不安を持っているか家族で話して箇条書きにしてみてください。「夜に地震が起きて電気が止まったら?家族が別々の場所にいたら?離乳食は手に入る?」例えばそんな不安があるかもしれません。次に、箇条書きにした不安を解消(あるいは少なく)するためにできることを考えてみましょう。それを実行することが、防災のアクションになります。一度に全部ではなく、一つずつできることから実行すれば大丈夫です。我が家の防災は何から始めたらいいのか、きっとそのヒントになると思います。

今後も皆さんをサポートできるような講座やイベントを開催していきたいと思っています。

宝物である大切な子どもたちのために、防災についても一緒に考えましょう!
 

2019年4月号