ママとパパのリレーエッセイ-第197回-(公財)三鷹市スポーツと文化財団・斉藤久美子さん

公開日 2019/07/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第197回 -(公財)三鷹市スポーツと文化財団・斉藤久美子さん

はじめまして。(公財)三鷹市スポーツと文化財団の斉藤久美子と申します。

昨年の9月に三鷹市公会堂光のホールで開催したファミリーコンサート「赤ちゃんからのクラシック」のPRにご協力をいただいたご縁で、リレーコラムにお声がけをいただきました。おかげさまでコンサートは満席となり、たくさんのご家族連れの皆さまにご来場いただくことができました。改めてお礼を申し上げます。

この公演は、私自身、出産後にコンサートにも行けなくなってしまい、思いきって都心のホールに電車で出かけたものの、小さな子どもを連れて往復するだけで疲れてしまい、コンサートを心から楽しむことができなかった・・・という残念な経験があり、地元のホールで、家族で気軽にコンサートを楽しんでいただきたいという思いで制作しています。

私自身は、5歳から三鷹に住んで約40年、結婚前後の数年間は市外に転居したものの、育休明けで仕事に復帰するため、三鷹に戻ってきました。現在、我が家には小6の息子と中2の娘がいるのですが、先日、小学校の卒業行事の準備で息子の赤ちゃんの頃の写真を探していたら、当時の色々な事を思い出しました。復職してから2つの保育園をかけもちの送迎、職場や家の問題も重なって悩みはつきず、朝、玄関で靴を履かない子どもに泣きながら怒ったり、服を着替えたくない!というパジャマのままの子どもを抱えて登園したりしたことも・・・。今となっては笑い話ですが、その頃は自分の子育てに自信がなく、周りのママたちが立派に見えて仕方がなかったのです。保育園に預けていることの罪悪感との板挟みで、これ以上、仕事を続けられないと悩んでいたとき、「子どもはどんどん大きくなるし、なんとかなるわよ大丈夫。」と背中を押してくださったのが小鳥の森保育園園長のOさんでした。そのほかにも二歳で手のつけられない暴れん坊になってしまった息子に、辛抱強く語りかけ深い愛情で育んでくださった井の頭保育園の皆さん、私が遅番勤務の日に夜遅くまで援助していただいたファミリーサポートのUさんたちに出会わなかったら、私は仕事を続けて来られなかったと思います。当時、面倒をみていただいていたのは子どもたちですが、一緒にその成長を見守り、喜んでくれる人がいるということは、何より心強いことでした。お世話になっていたのは母親の私の方だったのかもしれません。

今、私は三鷹市芸術文化センターで、音楽のワークショップや小学校への訪問演奏、ファミリーコンサートなどの事業を担当していますが、いつも「子どもたちに体験して欲しいこと」を念頭においています。ワークショップでは、親子でわらべうたを歌う回もあり、赤ちゃん連れのママにもご参加いただいて、みんなでゆったりと音楽を楽しんでいます。小学校での訪問演奏は音楽室が会場となり、毎年市内の全ての公立小で1学年ずつ実施しています。演奏を聴くだけでなく、楽器の音が鳴る仕組みを知ったり響きを体感したりと、演奏家と子どもたちがコミュニケーションを取りながら行われるプログラムです。普段、クラシック音楽には興味がないという子も、プロが演奏する様子を目の当たりにすると、とても集中して聴いてくれるのですが、「クラシック音楽も意外にいいじゃん。」と感じてもらえたら大成功だと思っています。

これからも、音楽をとおして、子どもたちが新しい自分と出会い、人と思いを伝え合い、認め合うことの楽しさを経験することができる場を作っていきます。皆さまのご参加を、心からお待ちしております!

2019年7月号