一般社団法人みたかSCサポートネットを立ち上げたチカラ~第5回 勝ち得た信頼から生まれたもの

公開日 2019/09/10

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一般社団法人みたかSCサポートネット代表理事の四柳千夏子です。防災教育や補習学習などで、学校教育とコラボしながら子どもたちの支援活動をしています。
また、文部科学省総合教育政策局コミュニティ・スクール推進員(CSマイスター)としても、全国区で活動しています。
三鷹の教育にどっぷりとはまっているこの20年間を8回にわたりおはなしさせていただきます。


<第5回> 勝ち得た信頼から生まれたもの

 ~学習ボランティアの立ち上げ~
学級崩壊があったり、相性の悪い先生との出会いがあったりしながらも、私は、一人の母親として、やはり先生たちに感謝をしている。手のかかる子どもを持ち、PTA役員として学校に日参する日々の中で、先生たちが日頃、いかに努力をしているかを見てきた。いい先生たちに子どもたちを育てていただいたと、心から思っている。

その一方で先生たちが、付帯業務に追われて本来の業務に時間を取れないで苦悩している姿も見てきた。先生たちの本来業務、それは「子どもと向き合う」ことだ。会議、事務書類の多いこと。放課後は忙殺されている。その上近頃は、わが子から聞きかじっただけの情報で、親がクラスの出来事に首を突っ込んで学校に電話してきたり、怒鳴り込んできたり。流行りの「モンスターペアレント」までいかなくても、わが子かわいさのあまり、先生に詰め寄ったり、先生を責め立てたりする親が本当にいるのだ。

先生たちは疲弊していた。それでも子どもの前では笑顔でいようという、痛々しいほどの努力をしていても、疲れ切った空気は、子どもたちに伝わってしまうものだ。先生たちには、いつもいきいきと、はつらつとしていてほしい、教師という職業に誇りを持って、胸を張って子どもたちに接してほしい、そのために何とか先生たちの助けになりたい、本気でそう思っていたところに、当時の校長先生から、「うちの学校に学習ボランティアの組織を立ち上げたい」と持ちかけられた。

学校から保護者に呼びかけてもらい、登録制にして、学校からの依頼をメール配信して英語、家庭科、算数などの授業の補助に入ってもらう、という学習ボランティアシステムを作った。登録者の掌握、先生からのボランティア依頼、メール配信、ボランティアのとりまとめ、ボランティアマニュアルの作成、先生とボランティアの懇談会のとりまとめなど、土台のプランは校長先生と確認をとりながらも、具体的な部分は、事務局長として全面的に任された。学校の歩調にあわせて活動してきたからこそ得た信頼の結果だったのだと思う。


~子どもたちのために、地域が一つに~
地域のほうも、こつこつと時間をかけて築いてきたものが実を結んだ。PTAや地域が子ども向けに様々な行事を行っていたが、近年の学校週休二日制で、さらに子ども向けイベントやサッカー、野球などが増え、やや「子どもの取り合い」状態になっていて、地域が古くからやっていた行事には子どもの参加が減少傾向にあった。

「地域の大人たちの力をバラバラではなく、一つに結集したらどうだろう。」という声が徐々に増えて、PTA、青少対、交通対、地域子どもクラブに呼びかけて理解を求め、それぞれの団体が行っていた伝統の地域行事やイベントを見直してもらい、合同開催で大きな夏のおまつりをやることにしたのだった。

調整には約3年の月日がかかったが、このイベントはすでに10年続いていて、今はおやじの会や近隣の大学生など様々な大人が関わり、先生方も参加してくれて、毎年子どもたちがとても楽しみにしてくれている。

何年か企画運営の中心にいたが、今はすでに他の人にバトンタッチ。バトンタッチできたのは、この事業の企画運営を、各団体から委員を出して実行委員会形式にしたこと、おまつりの趣旨をはっきりと明示し引き継いでいることだと思う。中身はその都度の委員さんたちの創意工夫で変えていけばいい。そして大人たちも楽しみながら関われば、子どもたちにもその楽しさが伝わるのだ。
 

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2019年9月号