公開日 2019/10/01
ママとパパのリレーエッセイ 第200回 -アルテシマさん
市内に住む1歳の女の子のママです。
今回は、「なぜ動物が眠るのか」というテーマからスタートして、なぜ赤ちゃんはこんなに未熟な状態でお腹の外に出てくるのかということ、そして最後には私の育児の経験についてもお話ししたいと思います。
私が妊娠中、何の気なしにテレビをつけてみたところ、とても面白い番組をやっていて、つい見入ってしまったことがありました。その番組のタイトルは思い出せないのですが、生物の進化をテーマとしていて、確かこんな内容でした。
「なぜ動物は眠るのか。その答えは、動物が起きて動いている状態を本来の状態であると考えてしまうとたちまち難しくなる。しかし、もともと生き物というものは植物のように動かない状態にあるのが本来の姿であり、そこから生き残りのために捕食の手段として動けるように進化したのだと考えれば、簡単に説明がつく。すなわち、動物にとって眠る状態とは、生物としての本来の姿に戻ったということに過ぎないのだ。」
「生物は、静物から動物へと進化した。そして、人間の存在は生物の進化のレベルを更に次の次元に押し上げたといえる。それは、人間の極めて優れたコミュニケーションの力により、お互いの意思を通いあわせることで、個々の力を超越した力を発揮することを可能にした点にある。」
その後、この番組を見ていたときにお腹の中にいた子供が無事生まれ、その瞬間から怒涛の育児生活が始まりました。
育児は妊娠していたときに想像していたよりも遥かに大変で、ふと、どうして人間の赤ちゃんって、こんなに何もできないうちにお腹の外に出て来てしまうのかなと思うことがありました。そして、そのとき急に頭に浮かんだのが上の番組の内容でした。
もしかすると、人間の赤ちゃんは何もできないような未熟なうちに、あえて外の世界に出るのかもしれない、そして脳や心が発達していく初期の段階に、母親、父親はじめお腹の外にいる様々な人と関わって、大切なコミュニケーションの力を養おうとしているのかもしれないな…。
そんなことを考えました。
私は科学的な見識があるわけではないので、ただの素人の思いつきに過ぎませんが、この思いつきがきっかけとなり、私は子供のためにも積極的に人と関わりコミュニケーションを取っていこうと思うようになりました。
ただ、残念なことに、お世辞にもコミュニケーション能力がある方だとは言えないため、あまり良いお手本にはなれそうにありません。それでも積極的に人と関わろうとする姿を子供に見せることができれば、良いお手本にはなれなくても、人間にとって大切なコミュニケーションの力を育ててあげることができるのではないかと信じて、自分の殻を破ろうと思いました。
そして、現在は、毎日のように子育て広場に通って、子供が他の子供達と触れ合う姿を見守りながら、たくさんのお母さん達と顔を合わせて、他愛のないお話をしたり、育児の悩みを相談しあったりと賑やかな日々を送っています。
また、家の中でも、定期的にファミリーサポートを利用して、そこで出会った素晴らしい育児の大先輩に育児のイロハを教えてもらいながら、辛いときには励ましてもらったり、育児以外にも色々な話をしたりして、子供と3人でとても楽しい時間を過ごしています。
そこから、子供が何を学んでくれるかはまだわかりませんが、いつの間にかその毎日が自分にとってかけがえのないものとなっているように感じています。
2019年10月号