公開日 2019/11/01
ママとパパのリレーエッセイ 第201回 -田中浩二さん
こんにちは。株式会社Cozy Villageの田中浩二です。
三鷹市と武蔵野市で、ぴかぴか保育園という保育園を3施設とデイサービスきらきらという通所介護施設を運営して4年になります。
4施設とも10名~19名程度の小規模なものですが、毎日みんな笑顔で楽しく賑やかに過ごしています。
下連雀にある施設は、保育園とデイサービスが短い廊下で繋がっていて、いつでも子どもたちやお年寄りが行き来できるようになっています。七夕まつり、敬老のお祝い、クリスマス等の季節ごとの行事の際には保育室におばあちゃん、おじいちゃんたちをお呼びして、お互いに一生懸命練習してきた歌を一緒に歌ったり、手作りのプレゼントを交換し合ったりして楽しく過ごします。また、そうした行事の時だけでなく普段の日でも「ちょこっと交流」と称して、曜日毎に子どもたちをグループ分けしてお年寄りの居る部屋に遊びに行っています。見慣れないお年寄りを前にして、最初は腰が引けておばあちゃんの顔を正面から見れなかったり、保育士にしがみついて床に降りるのを嫌がったりしていた子も2、3回も続けて交流していると自ら近寄っていってご挨拶したり一緒に遊ぶようになります。
このような「多世代交流」は子どもたちにもお年寄りにも素晴らしい変化をもたらすようです。「〇山のおばあちゃん元気かなぁ?」とか「△原のおじいちゃん来てるかなぁ」など、名前まですっかり覚えて気に掛ける様子がうかがえたり、お年寄りの方も子どもが遊びに来るとパッと表情が明るくなって「かわいいねぇ。いくつなの?」とニコニコしながら膝に抱き上げたり、普段は自力では立てなかった方が子どもと一緒にお手玉投げをした際、或る仲良しの園児がその方に向かって「おばあちゃん、ここだよー!」と遠くの輪っかを指さすと、なんとすくっと立ち上がってお手玉を投げ入れることができたのです。この時は職員一同涙が出るほど感動しました。
どうして保育と介護を融合した施設を始めようと思ったかというと、多世代交流は子どもたちに豊かな感性や社会性を育み、安心できる大人やお年寄りとの触れ合いを通じて他者に共感する力や自己肯定感を培うことができるのではないか、高齢者にとっても自分の豊かな経験を活かして役立っている感覚や自分の出番があれば、生活に張りが出て生きる意欲も向上するのではないかと感じたからです。今の都会では、大家族はすっかり減少し核家族がほとんどで、身近にお年寄りと接する機会もない子どもが多いのではないでしょうか。アフリカに「子ども一人育てるには、ひとつの村が必要」ということわざがあるそうです。日本でもかつては大家族や地域共同体があり、子どものまわりにたくさんの大人がいて様々な形で子育てに関わっていました。また、新米の母親は井戸端会議等を通じて、上の世代から「庶民の子育て文化」を受け継いでいました。私自身そういう環境で育ったので、地域の中で小さくてもそういう場がたくさんできたらもっと暮らしやすくなるだろうと思っています。
Cozy Villageも子育て世代に優しく、みんながちょっと幸せになれる、心地よい村になれたらいいなと思っています。
2019年11月号