公開日 2020/01/10
ママとパパのリレーエッセイ 第203回 -大島りかさん
今年の夏、たまたまNHKの朝ドラを見ました。
「なつぞら」のヒロインが、子育てをしながら仕事をしていました。
子どもを預けて仕事に出かける場面で、子どもが愛おしくて別れづらい…そんな気持ちが私もあったととても懐かしく思いました。
40年以上前は、まだまだ働く母親への理解が少ない時代です。
私の子育ては、35年前から始まりました。私自身の夢は、教員になるということでした。仕事も大切。二人の娘も大切。
どちらも両立したいので、毎日時間に追われるばかりでした。
「仕事で絶対休めない日」そのような日に限って娘は熱を出したり、ぐずったり私の余裕のなさを見透かされているようでした。
「そんな事をしたら先生に怒られるよ」と保育園に通う娘に言ったりすることもありました。
先生を盾にして、恥ずかしいなと感じた事も多かったです。
上の娘が小学3年の時です。娘は、母の日にエプロンをプレゼントしてくれました。
そのプレゼントをみて、私は「お母さんにもっと家の事をやってという事なの?一日好きな事して楽しんでとかはないの?」と言ってしまいました。
それを聞いた娘は、黙って泣いてしまいました。
「私のお母さんでいて欲しい。」という気持ちを後で聞き、娘の心を傷つけたことに反省したのですが、それほどに余裕がなかったです。その後の母の日のプレゼントは、花でした。
昨年、私は、定年を迎えました。すでに30歳を過ぎた娘からの母の日のプレゼントは、エプロンでした。
覚えていたのです。「もういいね。お母さんだね」という言葉を添えてくれました。
私の子育ては、思い出せないほど、余裕のないバタバタした毎日でした。でもその期間は、私を一人の女性として、母として育ててもらった時だと思います。
そして子育ては、家族や祖父母だけでなく、近所の人、たまたま会った人を含めてたくさんの人の力を借りてきました。そのことに感謝しています。
そして、今私ができる事。
子育て中のお母さんのちょっぴり力になる事。そうしたら子育て中、時々声をかけてくれた人達に恩返しをする事が出来るかなと思います。
もう一つ。エプロンをして、仕事に出かける娘達を見送ること。曲がり角手前で、娘達は、振り返ってくれます。
子離れ出来ていないですが、今も母親やっています。今もじゃなくて、今はですが。
ホームスタートビジター 大島りか
2020年1月号