公開日 2020/01/10
今月のおすすめ絵本・1月~その1
子年(ねどし)なので、ネズミの昔話絵本!
「ねずみじょうど」 3歳~ 作:長谷川摂子 絵:下田昌克 岩波書店 |
「おむすびころりん」「ねずみのもちつき」というほうがしっくりくる方もいらっしゃるかもっしれません。だいたいどれも同じパターンのおはなしで、食べていたおむすびを落としてしまったら、コロコロとネズミの穴に・・・。追いかけて穴に入っていくと、ねずみたちが大勢でもちつきをしていたり、お爺さんが落としたおむすびを有難がって食べていたり、はたまたネズミが招待しに来てくれたりと。。。
そして、良いお爺さんと悪いお婆さん、この絵本だと悪いお爺さんです。
良いお爺さんは宝物を貰えますが、悪いお爺さんは欲張りをしたので、最後はモグラにされてしまいます。
昔話や民話は、その内容もだいたい単純でメリハリがあるものが多いです。
自然の現象と共に人間のいろんな面が描かれていて、それでいて小さな子にもわかりやすくなっています。古くから語り継がれる間に、お話はシンプルにクリアに磨きがかけられてきています。
そして、昔話が残酷だという大人もいますが、(全員ハッピーエンドの妙ちくりんな終わり方に改変しているものもありますが、それはもう昔話とは言えません)現代の世の中ので起きている事柄のほうがよほど残酷ですよね。
おはなしの少し怖いという場面に至るには、その理由がおはなしに描かれていることがおおく、また、子ども自身は親のおひざの上やすぐ隣という安心できる場所でそれを聞くことで恐怖心が軽減されます。ラストは大体がほっとする“行きて帰りしの物語”となっていることが多いのです。
普段なかなか手に取ることが少ない昔話ですが、たまには子どもさんに読んであげてみてはいかがでしょうか。愉快な内容のものも多いですよ。
この現代まで永くつながってきているという事に意味はあり、また、安心できる場所で安心できる人から直接聴く、ということが大切なのかもしれません。
この絵本は岩波書店の“てのひらむかしばなし”という昔話のシリーズの一冊です。
A5サイズぐらいで小さな子でも持てるコンパクトな絵本。日本の有名な昔話を絵本作家で昔話研究家の長谷川摂子さんが文章をつけ、方言が満載で擬音も楽しくてリズミカルに読めます。そして内容に合わせたいろんな絵描きが絵をつけているのも楽しい。とてもわかりやすい読みやすいものばかりなので、昔話デビューにおススメです。
2020年1月号