公開日 2020/05/01
nanaの一口エッセイ~力を抜いて、ゆったりと・・・ season2
第9回 厳しい状況の中にも、きっと何か良い発見があるはず!
◆これまで人類が体験したことのない事態
個人的には、いろいろと試練が続いた2019年がやっと明けたと思っていたら、それどころではない時代に突入してしまいました。
”人類が”などという仰々しい言葉を使えるほどの世界規模の新型コロナウイルス感染が広がっているのです。
3月には、学校が突然休校となる事態、卒業式を控えた親子はどれほどの不安とストレスを感じたでしょう。
その中でも、出来るだけの配慮をして、各学校が卒業式を迎えたようです。
3月末あたりで、何とか収まり新学期が無事にスタートかと、期待したものの、諸外国の様子からも、これは長期にわたることだと覚悟をしなければいけない段階に来てしまいました。
今まで誰も経験したことのない、まるでSF映画のような世界が現実になっています。
◆新型コロナウイルスの奇妙な特徴
新型コロナウイルスの感染の仕方には特徴があります。
症状のない人からも感染するということです。そして、濃厚接触というおかしな言葉で表現される、近くで話をしたり、触れたりという事から感染するという特徴です。
しかも、80%が軽症にもかかわらず、人によっては、進行が速く手遅れになるケースも多い。最初は高齢者が危険といわれたけれど、若い人からも死者が出ており油断できません。
また、潜伏期間は、2週間という長さです。なんともわかりづらく恐ろしいウイルスです。
そのウイルスから身を守るには、”Stay Home”しかないというのも奇妙な特徴と思います。
◆家庭は社会の細胞
急に、家族と過ごす時間が増えて戸惑っている方がほとんどだと思います。
お子さんの年齢によって、そのご苦労も違ってくるでしょう。
とりわけ小さなお子さんを育てている方のストレスがどれほどかと思うと、胸が痛くなります。
家族と言っても、今の世の中、それぞれが多忙であり、食事時間もまちまちであったのに、今更家で一日中一緒になんてどうなるのと思った方も多いのではないでしょうか。
夫は帰宅が遅い、子どもは遅くまで塾通いで食事も一緒にしていなかったというお宅では、親子が突然一緒に過ごすという毎日に、どんな変化があったかとても気になります。
ただでさえストレスが高くなっているので、ケンカが増えたというところも多いでしょう。
家庭内暴力が増えているというニュースが流れるたびに、不安の中にいる子どもたちの事を思います。
新聞を読んでいたら、"コロナ離婚”などという嫌なことばが目に留まりました。
パートナーの暴力などどうしようもない状況になった場合は、ひとりで抱え込まず、すぐにしかるべき相談窓口、または話を聴いてくれそうな知り合いに相談しましょう
でも、この状況が続いてある程度経ち、出口がまだ良く見えないということが理解できた方の中には、こうなったら、もう子どもやパートナーとしっかり向き合って過ごすしかないと、腹をくくったという話も聞こえてきます。
「家庭は、社会の細胞です。」という言葉があります。
家庭が社会の細胞ならば、コロナウイルスで家庭崩壊していたら、社会はどんどん悪い方に傾いていきかねません。
子どもが育つ家庭が、健康であることがすべての基本だと思います。
家庭を健康にするためには、家族それぞれの立場や思いをお互いに受けとめ合うことではないでしょうか。
出掛けることが出来ず、ゲームばかりしている子どもを、一方的に叱るのではなく、とりあえず話をするところからはじめてみませんか。
きっかけは、ゲームの話題でも、漫画やテレビ、今日のごはんの話でも何でもいいと思います。
時間はたっぷりあるのですから、これまでよりも話をする時間が増えたら、家族の知らなかった一面が見えてくるかもしれません。
テレワークをする会社が増えたころから、平日家族で散歩をしている人、自転車で走っているお父さんと子どもなどを見かけるようになりました。
子どもたちはなんだか嬉しそうに見えました。
今は、みんなの命を守るために家にいなければいけないのだから、どうすればより家族間のストレスを減らせるか、知恵を絞ってみましょう。
家族が家にいるために家事が増えたお母さんは、上手に分担して少しでもいいから自分の時間をぜひ持ってください。
◆社会のしくみが見える
この数か月の世の中を見ていると、社会のしくみがとてもクリアに見えてくるように感じます。
どこでどんな人がどんな仕事をしているのか、都会ではどれほど多くの人が満員電車に乗って、大きなオフィスビルに通い、パソコンでデスクワークをしているのか、どんな仕事が、社会のインフラに直接かかわっているのかなど普段気に留めていないことが浮かび上がります。
海外を往復している人の数の多さには驚かされました。
中学生、高校生のお子さんがいる家庭では、世の中の仕事について考える良い機会にもなると思います。
子どもは、将来経験するであろう社会のありようを、ニュースを見ながら、肌で感じ、働くことがどんなことなのかを感じているのではないでしょうか。
テレワークで家にいるお父さん、お母さんの働く姿も、子どもにとっては、いままで見たことのない父、母の新鮮な姿ではないでしょうか。
◆厳しい状況の中にも、きっと何か良い発見があるはず!
闘病中の知り合いが、「思いがけず病気と闘うことになったけれど、あんなに手がかかっていた子どもはすっかり自立して楽になった。」と、うれしいやらさみしいやらといった表情で話してくれました。
わたし自身も家族が病に倒れたときに、みんなの気持ちが一つになり、辛い日々の中にも、かけがえのない時間を持てた記憶があります。
コロナでは日本の3週間ほど先をいっているロンドンで暮らす友人が、先週悲惨な現状をメールで詳しく伝えてきました。
その中に、「ニュースでご覧のように、人間の弱い嫌な面もむき出しになりますが、強く勇気のある明るい良い面も現れます。自分が後者であることを望みます。」とあり、少しですが安心しました。
今はだれもが不安を抱えています。それほど大変な状況なのです。
でも、不安になっていると、その不安な気持ちは、どんどん増幅されていきます。
思い煩って良くなることは、何もありません。
何か自分にできることを、無理せず、出来る範囲で続けていくことが、今一番大切なことだと思います。
東京の2週間後が、ロンドン他ヨーロッパの都市や、アメリカのような事態にならないことを祈るばかりです。
平穏な日常が戻る日を楽しみに、今日一日、元気に過ごせたことに感謝をしながら・・・・
nana
2020年5月号