ママとパパのリレーエッセイ第209回- 山本千秋さん

公開日 2020/07/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第209回 -山本千秋さん

こんにちは!山本千秋と申します。
子育てコンビニさんとは、ちょっとしたご縁でリレーエッセイに参加させていただいております。

現在、私は60年間住み続けた武蔵野市を離れ、主人の義母の介護のために高知県に移ってきました。
リレーエッセイには“ばぁば”として何を書こうかと考えましたが、せっかく高知県にいるのでここのお話をしようと思います。

私が住んでいる町は高知市内から車で1時間離れた人口が3500人ほどの小さな町で、昼間見かけるのはほとんどご老人ばかり。週末にスーパーへ買い物に行くと親子連れを見かけ、ほっとした気分になります。町は若い世帯を呼び戻そうと一生懸命ですが過疎化は進行するばかりのようです。

我が家の近所には小学校があるのですが、明るく広い校庭はいつも閑散としています。
全校生徒は70人位。中には、アトピー性皮膚炎がひどく東京から移住してきた子や、いじめなどが原因で転向してきた子どももいるとか。
子どもたちは、見知らぬ私にも道ですれ違う時などあたり前のように「こんにちは!」と挨拶をしてくれます。東京のように知らない人とは話さないようになどの殺伐さは見当たりません。
周りに山河ありの自然環境は、のびのびと育つ要素がいっぱい。
近年は四国の中山間部として観光客を呼び込もうと、アウトドア施設に力を入れているようです。町の中心に流れる吉野川では、昨年アウトドアビレッジが完成し、キャンプ場、カヌー教室や、ラフティング体験、ボルダリング施設などが用意されています。

私は東京での子育てしかしたことがなく、いろいろ思い返し比較してみると都会がいかに刺激的で誘惑も多く、いろいろな方面で楽しみと危険が多くあったな、と実感します。私も3人の子どもがおり、子育て中の悩みは数えきれないほどあったし、壁にもいくつもぶつかりましたが、そのたびに周の人たちに助けてもらいながら3人とも独立しました。
子育ての環境というのは、首都圏と田舎とではこんなにも違いがあるのかと改めて驚きます。
子育てが終りこれからは「孫育て」で楽しく遊ぼう!と思っていると、老いた親の世話が待っていました。これも順番なのでなんとか乗り切ろうと奮闘中です。

この町にいると時間の流れがゆっくりで、ちょっと昭和の名残が感じられ、このままそれが続いていくように思われますが、毎年のように激しさを増す気象状況、自然災害の脅威、地球規模でのウイルス問題に直面、経済状況の悪化、まるでSF映画のようですよね。 というより、人間が考えるSFは現実になるという話を聞いたことがありますが、本当なのですね。子どもたちの未来想像図が描きにくくなっている状況を考えると本当に不安になります。
近年「今まで経験したことがない・・・」という言葉がいろいろな場面で使われるようになり、これからはそのような状況は増える一方なのでしょう。
誰もが経験したことのない世界で成長していくこれからの子どもたちは、どんな状況になっても柔軟な思考を持ち、ポジティブに立ち向かえる強い精神力を育ててあげなければならないと思います。
私が子育てしてきた頃とは比べものにならないくらいの加速度で変化していく現代、未来社会に於いて、物質的な変化があっても、親子の絆、人と人の絆はいつまでも変わることなく続いてくれることを願います。


2020年7月号