ママとパパのリレーエッセイ第211回- 三鷹市在勤の鈴木さん

公開日 2020/09/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第211回 -三鷹市在勤の鈴木さん

今回バトンを受け取りました、三鷹市在勤の鈴木です。 

我が家には、大学生と高校生の娘がいます。

コロナ禍の中、娘たちは、夫に対して、2人同時期に「ウザ」とか「キモ」と、言うようになりました。着替えているところに出くわしたり、夫が、テレビを見ながら、女性タレントを可愛いと褒めたりすると、「もう、本当にやめてほしい」「キモ」、などと、つぶやいて夫から離れていきます。嫌な物を見るような眼差しを夫に向けるようになりました。

娘たちは、母親の私には、反発したり、遠慮なく批判的な意見を言ったりしますが、夫には、そういう態度をとることは、今まで、ほとんどありませんでした。中学生にもなると普通は、異性の親とは距離をとるものと思っていましたが、我が家の娘たちは、父親と身体をくっつかせてソファに座り、おしゃべりしていることも多く、私は不思議に思ったこともありました。夫は、私と違い、高圧的な態度はとらないし、いつもおだやかで、娘たちに甘いので、反発したりする必要がないのかな、と思ったりしていました。

急な娘たちの態度の変化を、コロナ禍のストレスからかしら、と最初は思っていたけれど、あ、そうか、そうじゃないんだ、とわかったことがあります。

夫は、長女が小2、次女が保育園の年長の時に、命に関わる大病にかかっていることがわかりました。以来、12年間、再発を繰り返しながら治療を受けてきました。我が家は、その話題はしなくても、夫の病気が我が家の中心にいつもあったように思います。医学の進歩はすごいもので、2年前、開発されたばかりの新薬の治療を受け始めると、驚くほどの回復を見せた夫。一年半程前に退院してから、ずっと体調は安定しています。娘たちは、今まで、いつ居なくなってしまうかわからない危うい存在の夫には、反発なんてできなかったのでしょう。1年半経って、やっと、反発できるほど「強い父」と認めることができ、父親離れが始まったんだ。きっとこれは、喜ぶべきことなのね、と思って眺めています。

娘たちの態度の変化に、夫は戸惑っているみたいだけど..。
 

2020年9月号