nanaの一口エッセイ~力を抜いて、ゆったりと・・・season2 第13回

公開日 2020/11/01

コラムnanaの一口エッセイ~力を抜いて、ゆったりと・・・ season2

第13回 コロナ禍での家庭訪問型子育て支援活動(ホームスタート)のこと

◆秋も深まってきました
第12回で書きましたようにこのコロナ禍、手荒れに苦しんだ数ヶ月でしたが、今は手袋のお世話にならずに暮らしています。
一時期を思い返すと夢のようです。
とはいえ、またいつなるかわからないので、ハンドクリームはマメに塗るように気をつけつつ新しい生活様式の中、活動を続けています。
みなさまは、いかがでしょうか?
アメリカ、ヨーロッパでは第二波が猛威を振るっています。
日本も油断していると、冬が厳しくなりそうです。

◆産後鬱が増えている
コロナ禍でも、出産、育児は待ったなしです。
先日のテレビのニュースで、産後鬱が増えているという話題がありました。
通常10%程度の産後鬱が、24%にもなっているとか。
4人に1人が産後鬱、しかもその3分の2が自分自身で鬱であることに気づいていないというのです。
ただでさえ、親子で孤立しがちな産後の生活、コロナで外出などにこれまで以上の制限があるというのは、それだけでもストレスなので母親たちの辛さや不安はどれほどでしょうか?

◆「どうしたら、かわっていくのでしょうね?」
2017年より、NPO法人子育てコンビニは、ホームスタートという家庭訪問型の子育て支援を始めました。このエッセイでも、何度か紹介したかと思います。
これまでの活動で、多くの子育て家庭を訪問させていただきました。
20年近く子育て支援の活動をしてきて、子育ての環境が改善されているのは確かなのですが、家庭内の男女の役割については、育ってきた家庭の習慣を受け継ぐためか、なかなか変わっていかないようです。

夫の帰りが遅く育児の負担は主に母親というご家庭が多く、どうも母親が育児の中心になっているケースがほとんどのように見受けられます。
そして、子どもを産んで、仕事を辞める母親が未だに多いことにも驚きます。

「どうしたら、変わっていくのでしょうね?」と、訪問先のお母さんから聞かれたことがありました。
小さなお子さんを育てている場合、やはり働き方の問題があると思います。
長時間労働がスタンダードな日本の働き方の中での子育ては、共働き、片働きに関わらず、どうしても女性に負担がかかりすぎると感じます。

ウイズコロナで、在宅ワークや働き方が大きく見直されています。
0歳~3歳のお子さんを育てているご家庭では、お父さんが在宅ワークで家にいて、食事の支度などマイナス面の負担もあるけれど、とても助かったとの声も多かったです。
お父さんが部屋にこもってお仕事だけしているとしても、密室で母子でいるよりも、誰かがいるという安心感は大きいようです。

◆家族や人と人とのつながりが生きる力
ホームスタート・みたかは3年半ほどの活動で、70件ほどのご家庭を訪問しました。
そしてコロナ禍で、通常だったら元気に子育てできていそうなタイプの母親も、自宅にこもりがちになって自信を無くしたり、外出に不安を持ったりしていることに気が付きました。
誰かに一緒にいてほしい、話をしたいという声をたくさん聞きます。

2020年、わたしたちは、今まで経験したことのない世界を生きることになり、それぞれが自分自身の生活や生き方を今一度考える機会になったのではないでしょうか。
自分にとって大切なものはいったい何なのでしょうか。

SNSで交流していた遠く離れた家族と、お盆までは帰省を我慢していたけれど、お正月までは待てないから会いに行ってきますという方々が増えています。
家族や人と人とのつながりが、どれほど大切で、生きる力になっていたかということを、つくづく感じたこの数か月でした。
家族とのつながり、友だちや地域の人たちとのつながり、大切にしたいですね。

コロナ後の世界がどんな風になっているかは想像もつきませんが、この約1年の間に展開された様々な経験が良い方向に作用し、子どもたちがしあわせに希望を持って生きていける世の中になるようにと願うばかりです。


※ホームスタートとは、ボランティアスタッフが週に1回2時間程度訪問をし、話をしたり一緒に出かけたり、保護者が孤立しないように地域との繋がりを作る活動です。
お問合せは、ホームスタート・みたか E-mail:  h-start@kosodate.or.jp
 

nana

2020年11月号