公開日 2020/11/20
今月のおすすめ絵本・11月
自分の子どもの頃を投影?
『よるくま』 ☆2歳くらいから 作:酒井駒子 偕成社 |
とある会でこの絵本を紹介してもらいました。
けっこう深読みできる絵本でした。
「ぼく」が夜、ひとりで寝ていたら、こぐまが家にやってきました。
名前は「よるくま」。身体はまるで夜空のように真っ黒です。
おかあさんを探しているの、と泣いています。
一緒に探してあげる男の子。こぐまのおうちにいってもおかあさんくまはいない。
夜空のように真っ黒な涙がわんわん溢れます。
やっと見つけたおかあさん。ごめんね、仕事だったんだよ。
おかあさんはよるくまをだっこして家に帰ります。おまえはあったかいねぇ。
幼い子を一人残して夜の仕事に行くのは褒められたことではないかもしれないけど、
そうせざるを得ない状況の家庭かもしれない。
そんななかでも、子どもへ確かな愛情を伝える方法を、母クマは示しているようでならないのです。
就寝は母子分離の一つでもあるそうです。
今は絵本を読み聞かせしたりなんかして添い寝かもしれないけど、
いつか、今日は一人で寝る!と宣言する日が来たりするものです。
そんな日が来るのが待ち遠しかったり、いざ来たら寂しく思ったり、懐かしく思ったり。
この絵本を読むことは、自分の母子関係を考えるのにいい機会かもしれませんよ。
子どもは可愛らしい夢の中の冒険ファンタジーとして、素直に楽しめることでしょう。
2020年11月号