公開日 2021/02/01
ママとパパのリレーエッセイ 第216回-宍戸あけみさん
こんにちは。宍戸あけみと申します。
突然ですが、皆さんはパトカーに乗った事はありますか?私の次男は何十回もあります。
そう迷子で。次男は知的障がいで自閉症です。
五体満足に生まれ、可愛いはずの授乳中の次男にふと違和感を感じたのは、私と視線が合わない事。天使の微笑みは無く、能面のような赤ちゃん。一歳半検診で「自閉的傾向あり」と言われました。
多動で発語もなく、泣き叫ぶことでアピール。人にも物にも無関心。超偏食。音に過敏。引き出しや棚の中身をばら撒く。高い所によじ登る。一日中電気を付けまくり、水道を全開。夜中に起き走り飛び、階段から落ちる。DVDデッキやエアコン室外機に異物を入れ何台も破壊。冬でも服や靴を脱ぐ。公園遊び中や外出中に2秒で消えてしまう。何百回も迷子。一瞬も目が離せず、犬のリードか埋め込み式 GPSでも付けたい日々でした。
すぐ専門家や医師に相談、毎日療育を開始。療育が終わると、長男を迎えに行き、そのまま友人たちと公園に繰り出します。しかし自閉次男は逃亡魔で追いかけるのに必至。雨の日は自宅に友人たちを呼んで、幼児用ジム2つ分でジャングルジムを作り、居間に乗り物を置き、床に模造紙を貼ってお絵描きコーナーを、おやつは子ども達とみんなでクッキー作りやピザ作り。次男の脱走防止策や危険回避グッズだらけの妙な我が家でしたが「これ凄いアイディア!」「なるほどね〜」とママ友は協力的でした。
言葉が通じないから視覚で解る様に『絵カード』『写真カード』を手作りし、見せて声かけを続けます。多動防止用の自宅椅子を自作。次男の手の届かない高さに棚も手作り。DIYが母の気分転換に(笑)。トイレ自立しないくせに観葉植物の鉢の中に出来るようになったり、奇想天外の日常!
療育センターや支援学校や放課後デイサービスの先生方の対応法は心の支えでした。処方された薬は効いてるやらどうやら?生活時間を一定に行い、運動させる方が夜は眠ってくれます。
ドタバタ継続継続の生活ですが『ザ・可愛いがられる障がい者』を目標に、長所や好きな事を伸ばしてきました。そして20歳になりました。
現在は人見街道沿いの障がい事業所店舗で修業中。クールですが、たまに宇宙語を叫びます。支援グッズやタイマーを使い、視覚で覚えて再現する能力は絶賛されています。先日先輩や職員から「言葉は通じないけど仕事が丁寧だから大丈夫です」「僕より綺麗に掃除できてる」「盛り付けが完璧」「洗濯物の干し方と畳み方が美しい!」とお言葉を頂きました。新作プリンの蓋に貼るシール用の絵を描いて採用され、本人も嬉しそう!
皆さんもぜひお店を覗いてみてください。不思議な障がい者が作る、手打ちうどんや天ぷらや炊き込みご飯やパウンドケーキ。と〜っても美味しくて、癒されちゃうかもです!
2021年2月号