ママとパパのリレーエッセイ第219回- 飯田さん

公開日 2021/05/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第219回-飯田さん

こんにちは。ホームビジターのご縁からバトンを頂きました飯田と申します。三鷹で生まれ育ち、結婚後は狛江に移って、夫と息子(21歳)と3人で暮らしています。

現在、息子は大学三年生。目下、就活真っ最中です。頭を悩ませながらエントリーシートを書いたり面接を受ける中で、自分と真剣に向き合っている姿を見ると「本当におおきくなったなぁ。大人になったなぁ。」としみじみ感じています。

今ではこんなに落ち着いた息子ですが、高校生までは色々なことがありました。

生後7ヶ月から原因不明のチアノーゼ発作で入退院の繰返し。2歳まで一緒にいられるのだろうか、ととても不安な日々でした。
幼稚園に入園すると、喧嘩やトラブルで毎日のように先生に呼び止められ、自分の育て方が悪いのかもしれないと自己嫌悪でいっぱいでした。
小学校高学年では特定の友達からのイジメがあり、中学では依存症ではないかと心配するほどのゲーム三昧。約束を破って父親にアプリを消され、TVの液晶画面をバキバキにしたり、壁に穴を開けたこともありました。高校に入ると赤点を沢山とって、留年するのではないかと思う程でした。

こんな子育ての中で特に印象に残るのは、発作を起こしていた頃の孤独な子育ての辛さと反抗期の頃に言われた息子からの一言です。

息子は今思うととても繊細でいわゆる育てにくい子だったのかもしれません。刺激に敏感だったり、人見知りが激しかったり、夜泣きが大きくなるまで続いたり。しかしその頃の私は息子の繊細さを理解することができず、自己嫌悪になったり、発作の恐怖、孤独からの不安で胸が張り裂けそうでした。只々、話を聞いてくれる人がいたらどんなに楽になっていたのだろうと振り返ると思います。

反抗期には夫が家の窓を閉め始めるほど、息子と大声でやり合っていた私でした。ある時息子が「僕はお母さんと違うんだぁぁぁ!!」と叫びました。

はたと気が付きました。「そうだ、違う人間なんだから、考え方も得手不得手も違うんだ。」こんな当たり前なことに気づかず、ずっと私の思う良かれを押し付けてきました。それから息子の言うことをとにかく黙って聴くことに心掛けると、段々と話してくれるようになりました。今では息子が「傾聴って大切だよね!」と言うようになりました。

子育てを通して、一番落ち着いていったのは私だったんだなと感じています。

2021年5月号