ママとパパのリレーエッセイ第225回- 鈴木さん

公開日 2021/11/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第225回-鈴木さん

こんにちは。

三鷹市で働く地域助産師として、縁あってバトンを受け取りました鈴木と申します。三鷹市に住み31年。一人息子も高校3年生になりました。三鷹で過ごす子育て中のママ達のサポートを仕事にしながらも、同時に、自分の育児も地域にたっぷりと支えてもらいながら過ごしてきました。

今月、このコロナ禍に10月からの転勤と単身赴任が決まった夫を思い、夫との子育てについて書きたいと思います。

夫は、高校生の息子とも今でも仲が良く、高校に入って突然オシャレに目覚めた息子の洋服選びに一緒に買い物に車で出かけたり、週末に私が仕事で不在の時は、夕ご飯を作ってくれたり、仕事先までの送迎をかって出てくれることもあります。そんな感謝すべき夫ですが、子どもが小さい頃は、今でいう産後クライシスが我が家にもどっぷりと押し寄せていた時期がありました。

私自身、全力で育児に仕事にと奮闘していた当時、夫に対して、「息子ともっと遊んでよ。家事手伝ってよ。もっとゆっくり寝かせてよ。」という思いが沸々とこみ上げ、不機嫌さを前面に出して夫と接する毎日でした。当然、週末の予定を言った言わないで揉めるなんていうのは日常茶飯事。そもそも平日は夫の帰宅前に私は息子と寝ついてるなんてことは当たり前で、朝に顔を合わせるだけという日々が続いていました。なので、当然会話不足。当時、保育園の面談も毎月の身体計測もその当時の夫には何も伝えることもしていませんでした。不思議なことに、そんな夫婦関係が続くと、のんびり屋で穏やかな息子もイライラしやすくなり、保育園から帰ってきてもぐずったり、ちょっとしたことで怒りやすくなったりしてしまいました。

ここでようやく気が付いた私。夫ともう一度関係を修復する必要性を感じ、先輩助産師さん、友達、保育園のママ友等沢山の人に相談したり、時には本を読んだりして、客観的に自分の今までを振り返ってみました。すると、いつも怒らせたりイライラさせることばかりする夫と思っていたけれど、本当は自分の思っている育児を夫にも期待しすぎて、自分のペースで育児が進まないことに怒って、自分をイライラさせているのは自分自身だったと言うことに気が付きました。また、仕事で帰りが遅い夫に、息子の様子なども何も伝えていないから、自分だけで悩みを抱えていて夫婦で問題を解決するということを全くしていなかったことにも気が付きました。

そこからは、保育園の様子を意識的に伝え、息子と話してもらったり、夫のペースを大切にして、夫と息子のやっていることに干渉しないようにしたり、感謝を必ず言うように心がけました。逆に夫の話もよく聴く。家事が辛いときには、疲れているからできないと伝えるなど、とにかくコミュニケーションを増やすようにしていました。すると、何ケ月かすると面倒だなと思っていた会話がだんだん自分にとって必要に感じるようになってきて、自然と夫婦の会話が増えるようになりました。そうすると、いつのまにか息子のぐずりもおさまり、家族のバランスが整うようになってきました。家庭の中での「ありがとう。ごめんなさい。助かりました。いいと思うよ。お願いしてもいい?」という言葉は家族の共有語になっていて、今でも日常的に使われているように思います。

出産すると、些細なことで夫婦喧嘩をしたり、ママ自身が妊娠中には考えられなったような気持ちを経験することになり戸惑うこともあるかもしれません。産後のホルモンの変化で気持ちが不安定になるから仕方がないと言われても、そこから、もう何年もたっているのに、いまだに喧嘩が多いなと感じている方もいるかと思います。良好といえる関係に戻るには、子どもの成長で自然に修復されることももちろんありますが、改めて夫婦の会話を見直してみるということが必要なこともあるということを実感いたしました。半分命令のような(笑)声かけばかりだった私から言えることは、「わかってくれている」というのはやはり幻。たいていの男性はやはり察することが苦手です。要求だけを伝えるのではなく、自分の気持ち、「落ち込んでいる。焦っている。心配している。困っている。疲れている。楽しくない。つまらない。」など、思い切って伝えてみるといいと思います。また、やっぱり子育ての悩みも夫に聞いても「大丈夫だよ。」と適当に答えているように感じ、相談しても仕方ないと思っているママ達もいるかもしれません。もし、適当に言っていると感じても、「わかった。パパが大丈夫といってくれるならそうする。ありがとう。」と答え続けてみてください。そのうちパパも自分の意見が通るのであれば、真剣に答えようと心の変化がみられるかもしれません。また、「わからない。」「ママに任せるよ。」なんていう答えが返ってきたら、どうする?という聞き方をやめて、「どっちがいいと思う?」という選択方法にして、夫の答えたほうを思い切って実践してみてください。思いがけず上手くいったらまた頼りにする。もし、うまくいかなったとしても、あきらめず何度も夫に相談すれば、夫自身も今度は上手くいく方法を考えて答えようという気持ちになっていくはずです。男の人は頼りにされたいですから。いつか画期的でパパらしい素敵な返事を楽しみに待ちましょう。

子離れする時期が近づきつつある今、夫婦という形で今後過ごしていくかということをひしひしと感じるようになってきました。人生、どうせなら楽しく過ごしたい。家族が感謝しあいながら過ごせるように、これからも夫婦仲良くやっていきたいものです。結婚式の時に口にした「幸せな家庭を作ります。」という言葉の、「作る」ということばの重みを噛みしめる今日この頃です。 

2021年11号