ママとパパのリレーエッセイ第226回- 小泉さん

公開日 2021/12/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第226回-小泉さん

こんにちは!子育てコンビニ会員の小泉と申します。今年からコンビニ通信のデザイナーとしても活動をさせていただいています。

今日は私が子育てのテーマにしている「3世代での子育て」について書きたいと思います。

私の子どもの頃の家族構成は、両親、姉と、父方の両親の6人家族でした。祖母はリウマチがあり手足が不自由ではありましたが、豆知識を色々と教えてくれた思い出があります。祖父は気難しい性格でしたが、毎日夕方になるとおんぶをして寝かしつけ前の散歩に連れて行ってくれたそうです。時代背景もあり、昔気質な祖父母だったため、嫁の立場だった母には沢山の気苦労があったようです。子どもながらにそんな様子を見ていた私たち姉妹は、「私たちが家庭を持つ時には核家族(2世代家族)にしよう」と漠然と思っていました。

月日は流れ、ダンスの振付講師として埼玉県加須市の市民ミュージカルに関わるようになりました。地元出身のオペラ歌手が、地域の活性化と文化的貢献のために設立したその団体の掲げるテーマは、「社会の縮図としての三世代で取り組む文化活動、社会全体での子育て」。下は3歳から上は85歳まで50人ほどが所属しているほか、イベントの時には、元団員だった90代の方もお手伝いに来たり、団員の連れてくる0歳児も稽古場内をハイハイして、泣き声にも寛容な雰囲気の中、見守られながら過ごしています。

当初、20代半ばの独身だった私には、3世代で過ごすことの意義や良さがなんとなくでしかわからず、良い意味でお節介が行き交い、畑の野菜の交換や手作りおかずの差し入れなども日常茶飯事の朗らかな雰囲気に、ただ癒され、ただダンスを教えるのみ。その後、団体に関わって8年、自身の結婚、出産、子育て経験を経て、ものの考え方が20代とは変わる30代になり、ようやく「3世代交流って素晴らしい!」とその本当の良さに気づくことができました。

具体的には、それぞれの世代にとってごく自然に良い影響を与えあえることが挙げられます。シニアの世代は、子どもや下の世代から若いエネルギーをもらい、経験豊富な生き方を見せ、現役の役者として自己表現をし、団の運営も行い、様々な形でやりがいを得ていきます。子どもたちは、親以外の大勢の大人の目の届く場で、のびのびと自由に表現をしています。層の厚い上の世代が懸命に何かに取り組む姿を見て、自然と影響を受け、自分で考えて行動をするようになります。また、幼児から、小中高生、10代・20代も一緒になって遊ぶので、自然と上の子が下の子たちの面倒をみるようになります。中間の20・30~50代の働き盛り・子育て真っ只中世代は、他世代との交流を通して、子育てをしている人は孤独な子育てにならず、子どもがいない人は社会の中での子育てというテーマに賛同して関わりを楽しみ、平日働く人は週末の文化活動で羽を伸ばし、それぞれが忙しい中でも、団の活動を通して心身の健康を保っています。世代を超えた仲間として、共に声を響かせ、共に体を動かし、一つの目標に向けて切磋琢磨することの豊かさを楽しんでいる姿に、ミュージカルを教えに行っている私が、逆に3世代の素晴らしさを教えてもらい、元気を貰っています。

そして、社会の縮図の最小単位は家族だと言います。幼少期から3世代交流というものに触れ、こういった経験から私も気づけば3世代の中で子育てがしたいなと思うようになり、今では自分の両親と夫と子どもの3世代で家族を築いています。

家族だとつい遠慮がなくなり、時にありがたみがわからなくなってしまうこともありますが、3世代ミュージカルとの関わりから、せっかくとても良いバランスで豊かな影響を与えあえる可能性に満ちているのだから、より良い家族にしていきたいなと思うことができます。

ちなみに、夫も3世代家族育ち。

ミュージカルを一度私の送迎のついでに見学して、「なんだか楽しそうだし、妻の仕事場を見れて新鮮!」と翌週には入団。今では乳児の息子を連れて心置き無くお仕事をしに(羽を伸ばしに?)毎週通うことができています。層の厚い団員さん達のパワーは素晴らしく、息子は沢山の刺激を貰い、前日に夫婦喧嘩をしてしまっても、ミュージカルに行くと自然とわだかまりが解けて仲直りができるというおまけ付き。

最後に、最近の印象的だった出来事を一つ。

サッカー大好きで文化活動にまるっきし興味のなかった夫が、持ち前の人懐っこさで団員さんに溶け込み、「参加することは意義深いけど歌は覚えられないから本番は口パクでも良いか〜」なんて言っていた不真面目団員だった夫。(覚える努力もしていましたが、仕事が忙しいので・・・とフォローしておきます。)そんな夫が、仕事の忙しさピークでイライラしっぱなしだった週のミュージカル後のこと、ポツリと「歌うって良いよね・・・」と穏やかに素朴に呟く姿を見て、私も心が救われました。

家庭内も、仕事も、3世代の子育ての恩恵を受けながら日々過ごしています。

2021年12号