公開日 2021/12/20
2022年から住宅ローン控除の制度が変わる
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニで暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしに役立つ内容をお伝えしていきます。
人生において住宅購入は一大イベントです。住宅購入にかかるお金は、日常の生活費と比べて金額が桁違いのため、購入には入念な検討をしましょう。
住宅を購入するときに住宅ローンを利用するケースが多いかと思いますが、気になるのが住宅ローン控除ですね。最近発表された「令和4年度税制大綱」では、2022年からの住宅ローン控除について記載されています。
今回は、2022年からの住宅ローン控除の主な改正点を紹介します。
■新築物件を買う場合は控除額に大きな変化がある
住宅ローン控除は新築物件と中古物件(既存住宅)で内容が異なります。
新築物件は中古物件よりも住宅ローン控除額が大きくなるように設定されていますが、この傾向は2022年も変わりません。
現在(2021年)の住宅ローン控除は次のようになっています。
・借入限度額:4,000万円
・控除率:1%
・控除期間:10年
年末のローン残高が4,000万円の場合は、その年に最大40万円の控除を受けることができる仕組みです。
さらに、消費税率10%で住宅を購入した場合は控除期間が13年と3年間長くなります。ただし、11年目~13年目は、上記の10年目までと計算式が異なります。
また、認定住宅(認定長期優良住宅または認定低炭素住宅)の場合は、借入限度額が5,000万円に増額されます。
さて、2022年は住宅ローン控除が次のように変わる予定です。
・借入限度額:3,000万円
・控除率:0.7%
・控除期間:13年
認定住宅等の場合、その種類に応じて借入限度額が4,000万円、4,500万円、5,000万円に増額されます。
今回の改正で借入限度額と控除率が下がるので、単純に控除額の上限が最大21万円になり、現在の最大40万円と比べて約半分になります。1人で4,000万円以上のローンを借りるケースは多くないと思われ、借入限度額よりも控除率の影響が大きくなりそうです。
また、控除期間が13年と長くなるので、これまでの10年待って繰り上げ返済する人のパターンも変わるかもしれません。
■中古物件を買う場合は基本的に控除率の違いのみ
中古物件の住宅ローン控除では、控除率が大きな違いです。
・借入限度額:2,000万円(現在と同じ)
・控除率:0.7%
・控除期間:10年(現在と同じ)
控除期間は10年のままなので、控除率が1%から0.7%に下がった影響がそのまま出ることになります。
しかし、中古物件で住宅ローンの対象となる要件が変わります。
・築年数要件は廃止
・新耐震基準に適合している住宅(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降)
これまでは、木造で20年、耐火建築物で25年未満、あるいは耐震基準適合という条件がありましたが、今回その条件が緩和されます。
25年以上の築年数がたっているリフォーム物件などでも、住宅ローン控除が受けられるようになるので、手頃な価格の中古物件を選ぶケースが増えるかもしれません。
住宅ローンを組むときは無理なく返済できる金額を考えましょう。住宅ローン控除は気になりますが、住宅ローン控除のために安易に借り入れを増やすことは避けましょう。
■まとめ
・2022年から住宅ローン控除の内容が変わります。
・新築物件は借入限度額と控除率が下がりますが、控除期間は13年に延びます。
・中古物件は控除率が下がります。
・築年数がたっている物件でも、住宅ローン控除が受けられるケースが増える可能性があります。
ぜひ参考にしてください。それではまた。
出所:令和4年度税制大綱-
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FPオフィス マネーライフ・ラボ三鷹 代表 伊達寿和
会社員時代にファイナンシャルプランナー(FP)の職業に出会う。
充実した人生を生きるには個人個人がお金に関する知識を持つことが重要と思い資格を取得。その後事務所を開業。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、三鷹市を中心に活動中。
CFP(日本FP協会認定)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2017年相談員
ホームページ https://mitaka-fp.jp/
2021年12月号