ママとパパのリレーエッセイ第229回(最終回)- 三鷹市長 河村 孝さん

公開日 2022/03/01

コラムママとパパのリレーエッセイ 第229回(最終回)-三鷹市長 河村 孝さん

皆さん、こんにちは、三鷹市長の河村孝です。

2003年から“みたか子育てねっと”上で掲載を続けてきた「パパとママのリレーエッセイ」もこの回で最終回を迎えることとなりました。多くの皆さんが、長年にわたり繋いできたリレーエッセイの最後のバトンを、私がアンカー走者として受け取ることになりました。

思えば、NPO法人として子育てコンビニの皆さんが地域の子育て支援に関わり、“みたか子育てねっと・子育てコンビニ”のコンテンツ制作をしてくださるようになり今年で20年になります。当初から、会員のほとんどが育児中の親御さんで構成され、まさに当事者目線でこのリレーエッセイをはじめとした様々な活動を展開されてきました。地域密着型の総合的な子育て支援を行うNPO法人子育てコンビニは、身近な子育て応援団として今では三鷹の地域になくてはならない存在になっています。

“みたか子育てねっと・子育てコンビニ”が歩んできたこの20年の間、地域や家庭の状況は大きく変化し、子育て世代の生活様式や価値観も変わってきています。

情報化の進展により仮想と現実が混在し、多様性が容認され正解は一つではない複雑な社会環境の中で、身近にモデルや相談相手も少ない「現実の子育て」は決して簡単ではなく、昔のように当たり前に親になりごく自然に子育てができる時代ではなくなってきました。

また、同時に、子どもを取り巻く様々な問題が顕在化しています。

少子化、人口減少に歯止めがかからない中、令和2年度には全国で児童虐待の相談件数や不登校、ネットいじめの件数が過去最多となり、痛ましいことに19歳以下の子どもの自殺件数は800人と報告されました。深刻なこの状況に加え、コロナ禍がさらに子どもや家庭に負の影響を与え続けている現状です。

社会状況が変容し価値観が変わっても、人として子どもが健やかに育つための道筋・発達の段階は決して変わるものではありません。子どもの多くの問題は、子育てを担う親世代を十分に支えきれていないことが要因であり、今、まさにその支援の在り方が問われています。

未来を担う大切な「子ども」の健やかな育ちを守るために、これまで以上に地域全体が手を携えて子育てを考え、「親であることの喜び」を伝え続ける、そうした支援が必要だと強く感じています。

この「リレーエッセイ」も直接的ではありませんが、地域の様々な人たちの思いが、子育ての中の親御さんの気持ちをときに救い、勇気づけてきたのだと思います。

あらためて、「パパとママのリレーエッセイ」に関わった多くの方々とNPO法人子育てコンビニの皆さんにお礼と感謝の意をお伝えするとともに、ともに子育てを支える地域の皆さんの力に更なる期待と希望を寄せ、最終回の私の寄稿とさせていただきます。
 

2022年3月号