エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 16

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2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育子育てコンビニ編 16
―大五郎、初めてのインフルエンザ検査―

水無田気流

わが一子大五郎(仮名)、現在5歳5か月。
先日、見事に風邪を引き、熱も39度を超えてしまった。小児科に連れて行ったら、「熱が高いのでインフルエンザ検査をしましょう」となった。

実は、大五郎、案外病院は嫌いではない。メカものが好きなため、身長や体重の本格的測定器があるのも楽しいらしく、にやにやしながら測っている。
待合室に置いてある、子ども向け医学絵本を読むのも大好き。以前行ったときは、「エイズウイルス」の箇所を読み、すっかり気になってしまったらしい。お医者さんに、「めんえきさいぼうがこわれるって、どういうこと?」等々、質問攻め。……面倒くさいことこの上ない子である。
注射で1度も泣いたことがないのも自慢だ。泣かないと、看護師さんたちに大げさに褒めてもらえるのが嬉しいらしい。ついでに、「泣かなかったご褒美」とシールなどをもらえるのも楽しみで、毎回ご満悦である。

さて、今回は初めてのインフルエンザ検査。「お鼻にちょっと綿棒を入れるよ?」と言われ、ぐったりしながらも「僕、ぜったい泣かないんだよ!」と胸を張る大五郎。
ところが、お医者さんかが鼻に綿棒を入れた瞬間、「ビィーギャアアアアッ!!!!!」という、鋭い金属質の悲鳴を上げ、大粒の涙を流した。
そのすさまじさは、……往年のセガの名作シューティングゲーム「パンツァードグーンツヴァイ」で、冒頭ドラゴンの子・ラギが帝国軍機を見て竜の血が目覚め、すさまじい雄叫びを挙げながら口から火の玉を発射するのだが、その声にそっくりであった。
……いや、かえってよく分からないたとえ話で恐縮である。

幸い、検査の結果は陰性だったが、プライドが傷ついたらしく。帰路もしばらく泣きべそをかいていた。

「この次はぜったい泣かないんだよ!」とのことだが、それよりも、生涯極力インフルエンザにはかからない方向で、ひとつお願いしたい……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.26(2013年7月発行)掲載

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