エッセイ

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 18

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 18のイメージ

2022年5月27日

無宿渡世母がゆく 子育てコンビニ編 18
―大五郎、毘沙門天詣で―

水無田気流

わが一子大五郎(仮名)、現在5歳11か月。
先日、母が「上越詩を読む会」講演で新潟県の上越市に行ってきた。
講演は午後からだったので、午前中いっぱいは子どもサービス。付近にあった上越水族博物館に行ってみた。大きくて立派な水族館である。ちょうど館内に入ったところで、大五郎が大好きなペンギンの餌付けショーが始まり、さっそくペンギンランドに。
が……大変申し訳ないが、我々の目に留まったのは、あまりに巨体すぎる飼育係さんだった。いい相撲を取りそうな中年男性である。
解説はこんな感じ。「ペンギンさんは個体識別番号をつけて、餌の量を管理しています。そうでないと、食べ過ぎてダルマさんのように太ってしまうんですね。あははっ!」……ギャグなんだろうか。
大五郎は餌付け体験で、小魚を放り投げてご満悦だった。

次は、上越科学博物館へ。
大五郎、「人類の進化」や「からだのしくみ」展示に大喜び。病院に行くと、本棚のお話絵本には目もくれず、子ども向け医学図鑑を嬉々として眺めているようなマニアックな子である。
だが、一番気に入ったのは「動くティラノサウルスの模型」。
一定期間動いて咆哮するのだが、大五郎はいつまでもその場を離れない。しまいには「かかってこいー!」と言って文字通り徒手空拳を繰り出している……恥ずかしいので、引きずるようにして科学博物館を後にした。

講演の間は夫に預かってもらった。スタッフの方には「お子さんがいるなら」と、付近のキッズルームなどを紹介してもらい、夫にメールしようと思ったら、大五郎の写真付きメッセージが届いた。
そこには、甲冑の前に神妙な顔で座っている大五郎が。戦国マニアの夫が、上杉謙信公のお膝元に来たのだからと春日山城跡の記念館に連れて行ったらしい。
その夜は「車懸かりの陣ごっこ」につき合わされ、翌朝筋肉痛に。その後も毘沙門天の旗を欲しがり大変だった。
何の話を聞いたんだろう。いや、だいたい予想はつくのだが……。

<続く>

 

コンビニ通信vol.28(2014年1月発行)掲載

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