エッセイ
教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第62回
2022年6月15日
教えて!伊達さん ~お金にまつわるお話~ 第62回
◆パートの働き方、扶養に影響する年収106万円と130万円
こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの伊達です。
子育てコンビニの暮らしのお金に関するこのコラムでは、皆さんの暮らしに役立つ内容をお伝えしていきます。
配偶者の扶養に入っている人にとって、パートでの年収は気になる話題です。
年収が一定の金額を超えると、税金の負担が発生し、さらに年収が増えると扶養から外れて社会保険料の負担が発生します。そうすると手取り額が減ってしまうので、扶養の範囲内で働くことを希望する人も少なくありません。
今回は、扶養に影響するパートの年収について紹介します。
■年収の壁とは
パートの働き方に影響する年収の壁は、なんと6つもあります。
(1) 100万円の壁:年収100万円を超えると住民税がかかる
(2) 103万円の壁:年収103万円を超えると所得税がかかる
(3) 106万円の壁:条件に当てはまると、扶養を外れて「健康保険・厚生年金」に加入する
(4) 130万円の壁:扶養を外れて「国民健康保険・国民年金」または「健康保険・厚生年金」に加入する
(5) 150万円の壁:配偶者の「配偶者特別控除」の額が徐々に減少し税額が増える
(6) 201万円の壁:配偶者の「配偶者特別控除」がなくなり税額が増える
扶養に関係するのは、(3)と(4)ですので、これらをもう少し紹介します。
■年収106万円を超えると扶養から外れるケースがある
次の条件に当てはまると、本人が「健康保険・厚生年金」に加入することになるため、自動的に扶養から外れます。
・勤務先が特定適用事業所である(短時間労働者を除いた厚生年金加入者が500人を超えている)
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月88,000円以上
・雇用期間が1年以上の見込み
・学生でない
比較的大きな事業所で、月給88,000円(年収106万円)以上になると、厚生年金に加入するため扶養から外れます。「106万円の壁」と言われています。
■年収130万円を超えると扶養から外れる
年収106万円で扶養を外れるのは、5つの条件に当てはまるケースでした。しかし、年収130万円を超えると、特に条件なく扶養から外れます。
月108,333円(年収130万円)を超える場合は、自分で社会保険に加入する必要があり、扶養から外れます。
勤務先の厚生年金に加入する場合は「健康保険・厚生年金」に加入しますが、加入しない場合は自分で「国民健康保険・国民年金」に加入します。
「国民健康保険・国民年金」に加入する場合は、市役所や年金事務所で手続きをする必要がありますので、忘れないようにしましょう。
■2022年10月から、106万円の壁に当てはまる人が増える?
法律が改正され、2022年10月から、厚生年金に加入する条件が次のように変わります。
・<改正>勤務先が特定適用事業所である(短時間労働者を除いた厚生年金加入者が100人を超えている)
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月88,000円以上
・<改正>雇用期間が2カ月超の見込み
・学生でない
影響が大きいのが特定適用事業所の要件です。これまで500人超だったのが100人超となり、比較的規模の小さい事業所も対象になることです。さらに、2024年10月からは50人超のより規模の小さい事業所も対象になります。
年収106万円を超えている人は、10月から健康保険・厚生年金に加入する必要が出てくるかもしれません。勤務先が特定適用事業所かどうかがポイントですね。
健康保険・厚生年金に加入すると、傷病手当金や出産手当金の対象になり、老後の厚生年金が増えるなどの保障が充実するメリットがあります。ただし、保険料を負担する分だけ手取り額は減ります。
気になる人は、10月から厚生年金の対象になるかを勤務先に確認しましょう。対象になる場合は、働き方を変えずに健康保険・厚生年金に加入するか、年収106万円以下になるように働き方を変えるか、保障や将来の年金、保険料などを比較して検討しましょう。
ぜひ参考にしてください。
出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/dai3hihokensha/
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FPオフィス マネーライフ・ラボ三鷹 代表 伊達寿和
会社員時代にファイナンシャルプランナー(FP)の職業に出会う。
充実した人生を生きるには個人個人がお金に関する知識を持つことが重要と思い資格を取得。その後事務所を開業。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、三鷹市を中心に活動中。
CFP(日本FP協会認定)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2017年相談員
ホームページ https://mitaka-fp.jp/
※コラムの内容は執筆当時の情報によります。
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